「ノートルダムのせむし男」問題。劇団四季、2016年12月から「ノートルダムの鐘」を上演。「せむし男」はなぜ消えた。

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地下鉄の車内広告に、
劇団四季が12月11日から上演を予定している
「ノートルダムの鐘」の広告が出ていました。

2016年12月11日 – 2017年6月25日予定:四季劇場[秋]
https://www.shiki.jp/applause/notredame/about/

1996年に公開されたディズニーの長編アニメ
「ノートルダムの鐘」(原題: The Hunchback of Notre Dame)。

それをもとに舞台化され、2014年にアメリカで初演されました。
その日本版が、12月から劇団四季が公演するものです。

アニメーション、舞台版の原作は、
ヴィクトル・ユーゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」
(原題:Notre-Dame de Paris)。

邦題は「ノートルダムのせむし男」。
初訳は、1950年、河出書房から出ているようです。
(辻昶・松下和則訳)

小学生の時に図書室で借りて読んだ記憶があります。
といっても読んだのは、おそらく子ども向けのそれで、
タイトルはやはり「ノートルダムのせむし男」
だったと思います。(世界名作全集?)

そもそものヴィクトル・ユゴーの原題に、
「せむし男」を意味する単語は入っていませんが、
英語のタイトルは、「The Hunchback of Notre Dame」で、
「Hunchback」と「せむし男」という意味の単語が入っています。

この作品をもとに英米で映画、舞台が制作されていますが、
おおむね「Hunchback」が入っています。
(フランスなどのフランス語圏の作品では、
ユゴーの原題通り、「せむし男」に当たる表現は入っていない)

日本では、テレビ・ラジオ、新聞、雑誌など
マスメディアにおける差別的な表現、単語の
見直しで、「せむし」が避けられ、
表現が改められたようです。

マスコミに携わる人が一つの指針としているのが、
共同通信社の
「記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集」。
(ジャストシステムからATOKの辞書として、
「共同通信社 記者ハンドブック辞書 第13版 for ATOK」
が発売されている)

また無料の辞書で、
《書き屋のための変換辞書 for ATOK》がありますが、
「不適切な表現」を書くと、その旨、指摘されます。

「せむし」を入力すると、
「不適切な表現」と出てきて、
他の表現にすることを求められます。

「せむし」は漢字で「傴僂」、
例えば、背中の虫により子の病気になる
と思われていた所から、この言葉が生まれた
とされています。

明鏡国語辞典では、
次のように定義されています。

《骨の発育障害で、背骨が曲がって
前かがみの体形になる病気、
また、その人をいう差別的な語》。

はっきりと、この単語が
「差別的」であるとしています。

では「hunchback」は?

ジーニアス英和辞典第5版では、
《[名] [C]((侮蔑))ねこ背の人(humpback)
;〘医〙脊柱(せきちゅう)後彎(こうわん)(症)》とあり、
「侮蔑語」である旨、注記されています。

なお研究社新英和中辞典では、
訳に「せむしの」との表現があります。
http://ejje.weblio.jp/content/hunchback

日本のマスコミでは、こうした表現を自主規制しているものの、
アメリカなどでは、(ディズニーも含め)
「hunchback」は避けられていないようですね。

政治的公正さ、女性、身体障害者、少数民族などの
権利侵害について厳しい態度をとっている
アメリカですが、一部の表現に関しては、
日本の方が、規制が厳しいようです。

実質的な権利尊重の面では、
アメリカの方がかなり進んでいる
と感じていたので、この「せむし」に関しては、
ちょっと意外に思いました。

この問題について、
映画を中心に考察された記事。

閲覧注意!!
《なぜ、せむし男は消えたのか? ― 絶滅した『せむし男映画』の世界【前編】》
http://tocana.jp/2016/09/post_11021.html

《ユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』を映画化した際の
英語圏題名は『ハンチバック・オブ・ノートルダム』
(ノートルダムのせむし男)とストレートだが、
ディズニー・アニメが日本で公開される際には、御存じのように
『ノートルダムの鐘』に変更されている。このような処置は
世界的にも日本だけだという。「せむし」の表現に関する
メディアの温度差は、日本と欧米でこんなに隔たりがあるのだ。》

《なぜ、せむし男は消えたのか? ― 絶滅した『せむし男映画』の世界【後編】》
http://tocana.jp/2016/09/post_11022.html

 

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この記事を書いた人
niki

35年以上にわたり、TV、ラジオ、
イベント制作に携わる。30年余
り、放送関係の専門学校講師を
勤め、企画書、台本の書き方を
教える。10年余りホテルの食に
関するHPの制作、コンサルタ
ントも、行う。新聞は小学4年生
から読み始め、多い時には13紙
を愛読。
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