朝や昼など、食事をとりながら、
母とテレビを見ることが結構あります。
その時、大抵つけているのが、
NHK総合。
がちゃがちゃして騒がしい
民放の番組よりNHKのニュース番組が
いいと言って、母がチャンネル権を持っています。
しかし、たまにNHKのニュース番組の中で、
高齢者問題、介護問題などのテーマが出てくると、
必ず私にチャンネルを変えるようにと言うのでした。
母にも役に立つ情報があるかもしれない
と思って、こちらは思うのですが、
母にとってはそうではないようです。
「しわくちゃだったり、しみだらけの
じいさん・ばあさんは見たくない」んだそう。
「年寄りは年寄りが嫌い。じいさん・ばあさんは、
鏡で自分を見ればいい。年寄りは赤ちゃんや
若いびちびちした人の元気な姿を見たいの」。
こうした傾向はわが家の母だけかと思ったら、
そうでもないようです。
父方の叔母さんも、やはり年寄りの話題、テーマが
出てくるとテレビを切るんだとか。
また同年代の父母を持つ友人たちも、そうみたいで、
「同じ見るんなら、生命力あふれている
人や動物がよい」というんだそう。
ただこの場合の年寄りというのは、
失礼ながら市井の方々。
昔活躍した同年代の俳優・歌手の人たちは別みたいで、
現在、テレビ朝日でお昼に放送している、
かつて一世を風靡したスターだらけのドラマ
「やすらぎの郷」はかなりの割合で見ています。
「こちらは、昔よく知った人が今どうなっているのか?」
を確かめたいというところからのようです。
今から30年以上前のこと、
従兄弟に赤ちゃんが出来ました。
大阪の祖母の家で従兄弟や赤ちゃんに会いました。
その時に祖母が言ったのは、
「年寄りばかりのところに赤ちゃんを
ずっと預けていてはいけない」ということ。
なぜか?
それは、赤ちゃんの生命力を年寄りが奪ってしまうから。
まあ迷信のようなものでしょうが、
そんなことを本気で話していました。
(その頃、祖母は六十代初め。
今から考えると、祖母自身はまだ
老人という意識はなかったんでしょうね)
そして、よく言う「おばあちゃん子は三文(さんもん)安い」という
言い回しとその独自の解釈を教えてくれたものです。
この意味は一般的には次のように言われています。
すなわち、おばあちゃんなど祖父母に子守をしてもらい、
育ててもらった子どもは、甘やかされるので、こらえ性がなかったり、
わがままになったりする。なので他の子より、価値が劣ると。
祖母は、さらに付け加え、年寄りに生命力を吸い取られ、
命の価値・量が減ってしまうのだと。
子育てに関しては、両親より祖父母が育てる方が、
かえって良いという考え方・研究もあるよう。
また最近では、イクジイ、孫育てなどの言葉もあり、
忙しく余裕がない両親にかわって、孫を育てる
おじいちゃんも出てきています。
行政もそれにこたえ、2016年4月、さいたま市は
「さいたま市祖父母手帳」を発行しています。
そういえば、つい先日までNHKーBSプレミアムで、
松平健が主演の「PTAグランパ!」というドラマが
放送されていました。
http://www.nhk.or.jp/pd/pta/
これは、仕事人間の祖父が、孫のために
PTA副会長になるという設定。
娘が離婚して孫娘を連れて出戻ってきた。
孫娘の世話は「じぃじ」の役目に。
そしてPTA副会長のくじにあたってしまい……。
ほかのママたちとのドタバタ、PTAの活動などを
喜劇風に描いていました。
祖父が孫を育て、PTAにも参加するという設定は、
今時という感じでした。
こうなってくると、昔、祖母が言った、
「おばあちゃん子は三文安い」の独自解釈は、
最近では成り立たないのかもしれませんね。
ドラマの中の松平健さんのはつらつぶりを見ていると、
年を取っても、孫や若い者から生命力を
もらうだけでなく、こちらから、与えられる
ように日頃から節制し、活発に活動しないと
いけないなと強く思わされました。
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