会社の壁、机の前、デスクトップなどに、
今年の自分の目標、会社の社訓などを
貼っていらっしゃいますか?
そうした目標を達成するためには、
文字にして、いつも目の付くところに
置くのがよい。
昔の人は、経験的に
それを知っていたのでしょうね。
一方で、貼った紙の文字が色あせたり、
ほこりをかぶっていることも。
人は目に慣れてしまうと、当たり前になり、
風景と化してしまって、脳を刺激しなくなる。
つまりそこにあって、そこにない状態に
なるんだそうです。
知合いの方が、50歳を過ぎて、
本格的に始めたのが書道。
子どものお習字ではないので、
唐時代の名詩、偉人の名言などを
題材に書き記すという習い方なんだそう。
あるとき、お手本の言葉を練習していて、
ふと思いついたのが、知らない言葉ではなく、
自分の好きな言葉、また座右の銘に変えること。
そしてそれを1ヶ月に一度、
書き換えることだったそう。
以前に書いたものは、捨てずにとっておく。
続けているうちに気付いたのは、
同じ字を書いていながら、
そのときそのときで字が違うこと。
字にはそのときの自分の気持ちが
如実に反映されていると感じたそうです。
また同じ言葉でも、書き換えると、
新鮮な気持ちがよみがえるとも。
新生と言う言葉があるけれど、
書き換えることで、
その言葉に再び命が吹き込まれるように
感じたのだと。
そしてそれは、あの伊勢神宮の
式年遷宮の精神に通じるものなのではないか
と思ったそうです。
20年に一度、すべてを同じように新たに造り替える。
繰り返し再生することで、以前と変わらぬ姿を
みずみずしく保ちつつ、永遠を追求する。
「常若」(とこわか)という考え方のようです。
また日本には言霊(ことだま)という考え方もあります。
これは言葉のもつ呪力、魂と考えられています。
座右の銘を自分の手で、書き換えることは、
言霊をいつまでも若々しく保ち、
命を再生し続けること。
そう考えると、書道がすごく面白く、
意義深いものになったそうです。
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