あなたは「樟脳(しょうのう)」をご存じでしょうか?
ある程度の年配の方なら、あの匂いとともに、
思い出すのではないでしょうか。
もっとも最近は、アロマオイルの一つとして、
若い女性に人気も高まっているので、
案外、若い方の方が知っているのかもしれませんね。
2016年3月29日、日本経済新聞の文化面に
《衣類守る香り 技の結晶》
《クスノキから作る天然樟脳、五感を駆使した伝統製法
内野和代》との記事が出ていました。
福岡県みやま市で江戸時代から
150年以上続く、日本で最古の樟脳工場の
5代目樟脳師である内野和代さんが書かれたものです。
内野さんのところは、
すべて国産のクスノキから天然樟脳を、
最低でも10日かけて製造しているのだそう。
江戸時代は、
《「金・銀・銅・樟脳」と言われるほど
高価で、外貨獲得の手段》だったのだそう。
《薩摩藩は樟脳を密輸してもうけた資金で、
軍備拡張をすすめた》そう。
それほど貴重だったんですね。
(今でも鹿児島では、樟脳を原料とした
塗り薬「白紅」が多くの家庭の常備薬
として使われている)
その後、江戸時代からほとんど変わらぬ樟脳の
作り方が書かれ、さらに内野さんが5代目になった
経緯が記されています。
2010年に4代目だった旦那さんが亡くなられたとのこと。
1ヶ月以上、何も手に付かなかったけれど、
四十九日の法要に樟脳を備えようということで、
地域の方に助けられ、樟脳作りを再開したとのことです。
こうして江戸より続けてきた樟脳作りですが、
戦後、ナフタリンなどの安価な化学製品が出たり、
樟脳から作られるセルロイドもプラスティックに
変わるなどして、衰退していきます。
《1962年に専売制が廃止されると、同業者は
次々と廃業していった》とのこと。
けれど、最近、見直されていると。
天然の樟脳は防虫効果は強いものの、
においは染みつかず、あれる魏の子どもの
服にもつかえること。
またアロマオイルとしての人気も高まっているとも。
こうして樟脳作りに関心を持つ人が増え、
実際、新たに樟脳作りに取り組む人が現れ、
《今では九州に数軒の樟脳工場がある》とのこと。
自然の恵みをいかした先人の知恵が
こうして消えずに次世代につながるというのは、
嬉しいことですね。
小さい頃、箪笥の中に入っていた
防虫剤は、樟脳でした。
それがいつ頃からか、ナフタリンに変わりましたが、
着物、羽織、袴などの和箪笥の防虫剤は、ずっと
和紙で包まれた樟脳でしたね。
記事に「おじいちゃんの家に来たみたい」
との工場を訪れた学生の言葉が書かれていますが、
確かに父方・母方の祖父母の家の箪笥のある部屋の
香りは、この樟脳の匂いがしていましたね。
以前にも書きましたが、樟脳と言えば、
露店・夜店で売っていた樟脳舟。
セルロイドの小さな船の後ろに、
樟脳をつけたものです。
水に浮かべると、樟脳が水と反応して、
すーっと進む。
面白かったなー。
でも小さな洗面器なんかだと、
いつの間にか動かなくなる。
その時は、水を全部入れ替えるとまた動き出しました。
懐かしいなー。
でも小学生も中学年になると、
マブチの水中モーターなんかを買って、
樟脳舟では遊ばなくなったなー。
最近では余りみかけなくなったけれど、
今でもどこかで売っているでしょうね。
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