梅雨、湿気の多い時期。
小学生の頃、この時期、
よく捕まえていたのが、
「かたつむり」です。
あじさいにカタツムリはセットで
この時期に欠かせない花、生き物として、
記憶に残っています。
ところが、もうずいぶん前から、かたつむりを見ていません。
毎日、ウォーキングをしているのですけれど、
以前ならいたはずの近所の庭、川べりの花壇、
公園の日陰の木の奥。
もしかして、小さい時のように、葉をめくり、
奥まで入って探せば見つかるのかもしれません。
けれどぱっと見つけることはなくなりました。
乾燥化、温暖化などの環境変化や、
殺虫剤などの散布で、
かたつむりは減っているんだそうです。
寂しいですね。
このかたつむりで思い出すことがいくつかあるのですが、
最近、よく頭の中に出てくるのが、
長崎市の平和祈念像を作った彫刻家北村西望の俳句。
「たゆまざる 歩みおそろし かたつむり」
北村は、長く、不遇の時代が続き、
自分には才能がないと、
何度も彫刻を諦めようとしたそう。
あるとき、自分は天才ではないと悟り、
人が5年でやれるところを、
10年かけてでもやらねばと決意したといいます。
上の句は、平和祈念像を作っている時、
前の夜には、像の足元にいたかたつむりが、
翌日には、像の頭までのぼっているのを見て、
詠んだものだそうです。
北村は、
「わたしは天才ではないから、人より五倍も十倍もかかる。
いい仕事をするには長生きをしなければならない」。
高さ9メートルの平和祈念像も、4年掛けて作ったそう。
こうして、生涯絶えることなく努力精進を続け、
文化勲章も受章。
昭和62年3月、102歳で亡くなりました。
もう一つ。
絵本の「せかい いち おおきな うち
りこうになったかたつむりのはなし」です。
作者は レオ・レオニ。谷川俊太郎が訳しています。
これは小さな子どもかたつむりが、
世界一大きな家をほしがるのですが、
それを、父かたつむりが、
世界一大きな家を持ったばかりに、
その重みで身動きができなくなった
愚かなかたつむりの話をしてやるというお話。
小さいころは「大きいことはいいことだ」の時代。
それに反して、大きなことは必ずしもよくない
という価値観はまさに革命的でした。
たゆまぬ努力と程を知る。
そんなことを教えてくれたカタツムリ。
昔のように復活してほしいものです。
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