自分が小さい頃、夏の暑い自分に、
近所を回ってきたのは、金魚売りでした。
たらいを前後にかついだおじさんが、
「金魚えー、金魚」といいながら、
やってきました。
声をかけると、たらいをおろして、
ふたをあけ、金魚を小網ですくい、
透明なビニール袋にいれてくれました。
風鈴売りもきましたね。
遠くから風鈴の音が移動して聞こえてくる。
その後、売り声がして、止まります。
ただ風鈴の音はやまず、動かず、
一カ所から複数の値が合唱のように聞こえてくる。
その音と、ガラスと短冊の姿はなんとも涼しげでした。
アイスキャンディー売りも夏の風物詩。
ランニングシャツに麦わら帽子のおじさんが、
後ろの荷台に冷蔵ケースと旗を立てて自転車に乗って、
やってきました。
町内の適当なところでとまると、
ベルを鳴らして来訪を告げる。
アイスキャンディーは近所の駄菓子屋でも
売っていたのですが、売りに来るおじさんの
アイスキャンデーの方が美味しい気がして、
親から十円玉をもらって、買いに走ったものでした。
こうした物売り。
なくなってしまいましたね。
高度成長の時代にどんどんとなくなった気がします。
紙芝居屋、ポン菓子屋、鋳掛け屋。
そうそう夏休み、大きな荷物を持って、
鉄道で移動する際、駅には赤帽さんがいて、
荷物を持ってくれたものでした。
赤帽さんも、今はいませんね。
こんなことを思い出したのは、
を眺めたから。
タイトルの通り、昭和の時代にはあったけれど、
次第になくなった職業をイラスト入りで紹介しています。
掲載している職業は全部で115種。
その中には上に書いた、金魚売り、
風鈴売り、アイスキャンデー屋などももちろん出ています。
個人的に、懐かしかったのが「ロバのパン」
「こうもり傘修理業」。
ロバのパンは、まさに生きたロバがひいて、
売りに来ていたんですよね。
おととしだったか、発祥の地京都に行ったとき、
ロバのパンを久しぶりに見ました。
ただ本物のロバではなく、「バン」でしたが。
鋳掛け屋もそうですが、昔は、
様々なものを修理再生する商売がたくさんありました。
こうもり傘の修理業もその一つ。
今のように使い捨てのビニール傘500円なんてありません。
大きなこうもり傘はかなりの値段だったようで、
父や近所のおじさんたちは、それを大事に使っていました。
使っているうちに、骨がおれたり、
糸がゆるんだりする。
そうした場合、自分で直す場合もありますが、
骨が折れたりした場合は、それをとっておく。
で修理屋さんが来たときに、骨をついでもらって、
直してもらうんですよね。
今から考えると、こうした修理業は、
上質で耐久性のあるものを長く使うという、
エコロジカルで今の考え・流れにあっていますよね。
そうした昔の職業が形を変えて、
復活しているのはうれしい限りです。
コメント