先日、愛媛県の弟の家を訪れました。
広いリビングのテレビの後ろの壁に、
「VW(Vision&Work Hard)」と
マジックで手書きされた紙が貼ってありました。
あなたはこの言葉、ご存じでしょうか?
実は先日、新聞にも掲載されていたのですけれど、
ノーベル医学生理学賞を受賞した、
京都大学iPS細胞研究所所長の
山中伸弥教授の座右の銘です。
山中教授が受賞後のインタビューでこの言葉を
話しているのを聞いて、自分もこの言葉を
心に刻んでいたのでした。
「ビジョン(Vision)」と「ハードワーク(Hard Work)」。
山中教授は、手術が下手で、同僚らから、
山中(やまなか)ではなく、「ジャマナカ」と呼ばれていたほど。
研究者に転身するため、アメリカはサンフランシスコの
グラッドストーン・インスティテュートに留学します。
山中さんは、当時の研究所所長
ロバート・マーレー先生から、
生涯モットーとすべきこの考えを学んだそうです。
マーレーさんは、若い研究者に向けて、
「大切なのはVWだ」といつも言っていたそう。
当時も今も、彼はフォルクスワーゲン(VW)に
乗っていたそう。
彼がいうVWは、車のVWではなく、
「ビジョン(Vision)」と「ハードワーク(Hard Work)」。
ただ懸命に働くだけではだめ。
そこにビジョン(長期的目標)がなければ。
ビジョンとハードワークは車の両輪で、
どちらもないといけないのですね。
山中さんのビジョンは、現在、治すすべのない
脊髄損傷のような患者さんを何とかして治したいということ。
そう、自分の研究で治療不可能な病気の
患者さんを助ける。
これが自分のビジョン。
先生のその言葉を聞いて、自分が研究者として
歩むのを決意した目標を思い出したと言います。
それを忘れないため、山中教授はこの“VW”という言葉を、
以後、講演や対談などで紹介しているそう。
それは、多くの人にこの言葉を知ってもらいたい
ということのほか、実は半分以上は自分に
言い聞かせるためなんだそう。
こうした人生の目標、モットーは、
日常に埋没していると忘れてしまいがちですからね。
自分に意識させるためによいのは、
人に言う。また言い聞かせる。
そして書き出し、目に訴えかけること。
自分の手で、ビジョン・目標を書いて貼り、
毎日目に入れるということは、
目標をその都度、意識させるためには
有効なようです。
多くの会社でも、社員の目に見えるところに
社訓を書いて掲げ、声に出して読み上げたりしています。
それもまさにそうですね。
けれど、人間とは慣れの生き物。
すぐに慣れてしまって、
訴える力が弱くなるんだとか。
なので、一定の時間がたったら、
新たに書き直す、掲げる場所を変えるなどして、
刺激を新たにした方がよいのだそう。
山中教授が、違う人の前でこの言葉を
言い続けているのも、まさにこの刺激を
新しくし続けているということなのかもしれません。
弟の家で、山中教授のこの言葉を見かけた時、
驚きました。
二人でこの言葉について話し合った訳では
決してなかったのに、山中教授のこの言葉に、
兄弟で同じく、共感し、心動かされのですね。
弟と何かつながっている気がしました。
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