先日、東京郊外に住む
90歳の知合いとお会いしました。
中華料理の昼食をご一緒したのですが、
若者でも食べきれないような定食を
ほとんど平らげました。
近況や世相のことなど伺ったのですが、
「実は……」と打ち明けられたことがあります。
それは、運転免許を返上したということ。
その方は日本はもちろん、
海外でも仕事で車に乗り、
あちこち駆け回るという方。
ご自宅と職場は結構離れているのですが、
車で毎日通勤されていました。
東京とは言え、車が欠かせない生活を
していたのです。
2年前に運転をやめることを決意。
運転免許を返上したのだとか。
決意したのは、自分の運転が下手になったこと、
また反応が遅くなったことを自覚したから。
車をぶつけたとか、事故を起こした訳ではないのですが、
そうならないうちに、やめようと思ったと言います。
最近の高齢者が事故を起こすといったニュースを
見聞きすると、とても他人事ではないと感じ、
もしかしたら自分もそうなったかもと思うと。
そうした事故の心配をしなくてすむようになり、
精神的には楽になったとも。
その方は、毎日の通勤の必要がなくなり、
地元だけの生活になったということも
免許返上を決意する上で大きかったのかもしれません。
ただ買い物、用事などは、車がないと不便。
その都度、タクシーを使っているそう。
その分の費用は増えているそうですが、
以前の月々の車にかかる費用より、
むしろ安くなっていると言います。
この知人の場合は、免許返上がうまく
いった例なのかもしれません。
また昨日、以前、仕事で大変お世話になった
取引先の方とお会いしました。
この方は70代前半。
とてもお元気です。
東北に別荘をお持ちで、
そちらに1ヶ月とか2ヶ月滞在
といった生活をされています。
その往復また現地での足として
車を使っています。
以前その方の車に乗せて頂いた
ことがありますが、自分より
はるかに運転がうまく、慎重でした。
ところが昨日、弱音を伺いました。
以前は途中、1回の休憩をして行っても、
全然疲れもしなかったが、最近は、
2回休憩をとっても、到着するとどっと
疲れて、その後、何も出来ないと。
このペースなら運転もあと2~3年。
その後は別の手段での往復を考えねばと
決意していると。
この知人も若い時に比べ、反応が遅くなったことを
強く自覚し、運転はかなり気をつけて行うようになったそう。
天気のよい昼間しか乗らない、
行き先も紙にメモし、ルートを事前に
しっかり決定しておく
といったマイルールがその一つ。
そうしたルールを決めておいても、
ひやっとしたことがあると話してくれました。
上の90歳の知人、
また70代前半の知人のご家族が、
どのような対応をされたのかは、
伺っていないのですが、
お二人のふるまい、話しぶりから判断すると、
最近よく報道されている高齢ドライバーとは、
異なっているように思えます。
新聞報道によれば、
「自分は大丈夫だ」と運転に自信を持つ高齢者が、
年を重ねるごとに増えているというデータがあるんだそう。
60代、70代で5割、80代では6割。
その一方で、家族は運転能力の衰えを心配していると、
両者の間にギャップが生じていることが多いと。
(岩手県立大の元田良孝名誉教授らの、平成20年の調査)
こうしたデータや最近の事故を見ると、
これは高齢ドライバー本人や家族だけの
問題としてではなく、社会的な問題としてとらえ、
警察、地方自治体などが何らかの対策をとるべき
段階に来ていますね。
コメント