今から48年前の1969年7月20日、
アメリカの宇宙船アポロ11号の乗組員が
人類で初めて月面に立ち、
歩行し、月の石を採取。
24日に無事、地球に帰還しました。
月面に降り立つ場面は、世界40カ国に
同時中継され、世界で5億人以上の人が、
その瞬間を見守ったと言われています。
NHK《アポロ11号 月面着陸》(動画)
http://www2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030090_00000
アームストロング船長の
「これは1人の人間にとっては小さな一歩だが、
人類にとっては偉大な飛躍である」との言葉は、
とても有名ですね。
NHKは特別番組「アポロ11号月着陸」で、
月面着陸の様子を、衛星中継で伝え続けました。
月着陸船イーグルが、月面に着陸したのは、
日本時間の5時17分。
NHKでは、深夜0時から延々と
合計13時間にわたって放送しました。
着陸に成功した瞬間の視聴率は68.3%。
国民のほとんどが見ていたんですね。
自分もその頃には物心がついていたので、
見ているはずなんですが、実はその記憶は
とても怪しいのです。
夕方の時間に見た記憶があるにはあるのですが、
果たしてそれが月面着陸の時のそれなのか、
それともそれより後の何かのイベントの時の
映像の記憶なのか……。
もしくは後から見た映像、
新聞・雑誌記事などで、
記憶が創造されたかも。
同級生の中には、
ちゃんとその時のことを
覚えているという者もいます。
月面着陸の宇宙飛行士の様子を、
みんなで真似したなんて
おぼろげな記憶はあるにはあるのですが……。
同級生は、この月面着陸の時のことを
興奮して何度も話していました。
「月面は砂のように白く、
ところどころ黒くて、月の石は赤茶けていた」。
なんて話していたのですが、後で調べてみると、
アポロ11号に搭載されていた
2台のテレビカメラのうち、月面用のそれは、
白黒カメラだったんですね。
つまり月面の画像はモノクロ、白黒だったんです。
友達の記憶はそこがカラーになっているんです。
船内用はカラーカメラだったので、
おそらくそのカラーの記憶と、
月面のそれが混同しているのかもしれません。
ちなみにこのアポロ11号の月の石は、
1970年の大阪万博で、
日本館(4号館)で展示されていました。
ちなみにアメリカ館の展示していた
「月の石」はアポロ12号が持ち帰ったもの。
そのどちらも
赤茶けたところはありませんでした。
この体験を通じて思ったのは、
人というのは、そのときの記憶を、
それより後の情報、出来事などから、
新たに創り出したり、改変したりしてしまう
ということ。
記憶って、実はあやふやなものなんですね。
これはさらに後に、大学に入って、
刑事訴訟法で証人の証言の信頼性について
習った時にも痛感させられました。
例えば、犯罪・犯人の目撃証言。
とても確からしいと思いがちですが、
「記憶の変性」があるため
必ずしも信頼できないのです。
そうした犯罪の目撃は、
暴力、刃物を見て、心理的にとても
興奮した状態で目撃するため、
記憶が変性してしまうことが多いのです。
また凶器に注意が集中してしまい、
それ以外の記憶が曖昧になることが多いです。
(凶器注目効果)
また自分が直接、体験した後に、
他の人の証言や、新たな情報を聞くと、
自分の記憶を自分で信じられなくなり、
記憶を新たな情報に沿うように修正し、
証言を変えてしまうことも。
「事後情報効果」と呼ばれるものです。
自分自身の体験した記憶。
自分に都合が悪い所は、
修正して覚えている。
自分がおやつを食べたのに、
妹が食べたことにしていたり、
相手に振られたのに、
自分が恋人を振ったことになっていたり。
そんな覚えがあなたにもありませんか。
記憶を改変していく。
それは悪いことのように
思われがちですが、
こと自分に関する限り、
それはもしかしたら、
ストレスやつらいことを減らしたり、
緩和するための自然に備わった
防御反応なのかもしれませんね。
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