「林先生が驚く初耳学!」という番組の、
2018年3月11日放送回で、今年1月に10年ぶりに
改訂された広辞苑第七版について、紹介していました。
林先生は「辞書は引くものではなく読むもの」
との信念を持ち、子どもの時から辞書を記憶し、
大学の時には広辞苑を2回、精読したそう。
(電車の中では漢和辞典を読む)
「林先生が驚く初耳学!」
《【林先生が辞書を熱弁 世界一の 美女】》
http://www.mbs.jp/mimi/
林先生が紹介した言葉は、
「ごち」 。
第七版で初めて加わった言葉で、
《ごち〈御馳走を略した俗語〉食事をふるまうこと》。
この「ごち」については、例えば明鏡国語辞典第二版では、
すでに出ていて、《〔俗〕食事をおごること。
「━になります」◇「ごちそう」の略》と説明しています。
「ふるまう」よりも「おごる」の方が説明として
より正しい気がします。
続いて、「敷居が高い」。
こちらは、すでに一般的となった語釈・用法が
付け加えられた例としてあげられていました。
《不義理または面目ないことなどがあって、
その人の家に行きにくい。》に加え、
《自分にとって高級すぎて近寄りがたい》という意味が加わっています。
「確信犯」も同様。
(もともとは道徳的・宗教的または政治的確信に基づいて行われる犯罪のこと。
俗用として《それが悪いことと知りつつ、あえて行う行為》のこと。この語釈は
すでに第六版で出ています)
さらに林先生は「輩出」について、
テレビ・一般の人の用法は
広辞苑の説明に照らし合わせると間違っていると説明。
広辞苑 では「続々とつらなり出ること」。
出演者の1人が例文を書いていました。
林先生はその例文の
「山口県は多くの総理大臣を輩出している」は間違いで、
「山口県は多くの総理大臣が輩出している」が正しいと。
一般には、「○○を輩出」「○○が輩出」のどちらも
使われていますね。
ただ先生と違って、「が」の方に
抵抗を感じる人も多いように思います。
ただ上の例文も表現を変えれば、
「が」の違和感はなくなるかも。
「山口県からは多くの総理大臣が輩出している」
明鏡国語辞典第二版では、
《「多くの名優 が/を━した劇団」
[語法]「~が 輩出する/輩出される」はともに用いられる。
「~を 輩出する/輩出させる」では前者が一般的。
「歴代の首相が輩出した/輩出された名門校」
「歴代の首相を輩出した名門校」→品詞解説(名詞サ変動詞)》
となっています。
さらに林先生も指摘していましたが、
1人だけが出た場合に「輩出」を使うのは、誤りです。
明鏡国語辞典第二版も
《[注意]特定の一人が世に出ることをいうのは誤り。
「× 山田選手を輩出した道場」》としています。
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