先日来、新聞に、
の広告が掲載されています。
広告、書籍の紹介によれば、著者は、
弁護士で医学博士でもある秋山佳胤(アキヤマヨシタネ)さん。
2008年以降、8年間も一切の飲食を
されていないとのこと。
不食を実践することで、病気にならず、
精神的にも安定し、
《こだわらない、悩まない、争わない》生き方が
出来ると説いていらっしゃいます。
目次をご紹介します。
(紹介するサイトによって微妙に異なるので二つあげます)
《目次
第1章 食べなくてもいい(二〇〇八年以降、一切の飲食が不要;
ある不食者との運命的な出会い ほか)
第2章 否定しなくてもいい(裁かなければ、裁かれない;
短所が気になっても、まず長所に注目する ほか)
第3章 争わなくてもいい(訴訟相手に「ありがとう」を送る;
どんな存在であれ、つながっている ほか)
第4章 悩まなくてもいい(問題は問題視しないことで解決する;
うつは深刻な病気ではない ほか)
第5章 こだわらなくてもいい(ギャンブルは思う存分すればいい;
法律も今に合うように変えればいい ほか)
著者紹介》
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784344029491
《もくじ
第1章 食べなくてもいい
食べる量を減らすと頭がさえる/不食と断食は違う ほか
第2章 否定しなくてもいい
悩みは「他人ごと」という姿勢で聞く/我慢はエゴ、わがままはエコ ほか
第3章 争わなくてもいい
訴訟相手に「ありがとう」を送る/コンプレックスは抱きしめればいい ほか
第4章 悩まなくてもいい
うつは深刻な病気ではない/時間は思い出の良し悪しも変える ほか
第5章 こだわらなくてもいい
ギャンブルは思う存分すればいい/家族には、思うほど深いつながりはない ほか》
http://bookstore.yahoo.co.jp/shoshi-613037/
この本以外にも、
「不食」に関する本は、何冊も出ています。
不食には昔から興味があり、
秋山さんが以前出された本を含め、
多くに目を通しています。
それはなぜかというと、
小さな時に、「ばあちゃん」から聞いた話が、
頭の奥底に残っているからです。
夜遅くまで働いていた母親にかわり、
生後数ヶ月の赤ちゃんから、小学生の長い間、
自分の世話をしてくれていた女性がいました。
血縁関係はないのですが、
「ばあちゃん」と呼んでいました。
ばあちゃんは、山の中の小さな村から、
嫁にやってきて、子育てし、自分の子が
大きくなってからは、近所の子の
面倒を見ていたのです。
そのばあちゃんが、子守をしてくれていた時に、
体験した様々な話や、昔、親や周囲の人から
聞かされた話を、語ってくれたのでした。
例えば、滝の淵に住む大蛇と結婚した娘の話。
(後に知ったのですが、
同様な昔話は日本各地にありました)
そうした話の一つが、
不食不老の不思議な女の話です。
ある家に嫁にきた女性。
見目麗しく働き者。
朝は家の誰よりも早く起きて、水をくみ、
まきを割り、ご飯を作り、掃除し、畑を耕す。
夜は誰よりも遅くまで起きて、最後に寝る。
家族の中で、その嫁の寝姿を見た者は
誰もいなかったのです。
そしてもう一つ、家族の中で、
誰も見たことがなかったのが、
その嫁がご飯を食べたり、
何かを飲んだりする姿でした。
そう、その女性は、ご飯はおろか、
おかずも、果物、木の実など何も食べず、
また茶や水を飲んでる姿を、家族はもちろん
村の誰の前でも見せたことがなかったのです。
その家の姑は、嫁が来て、
人が一人増えたにもかかわらず、
米櫃の米が以前と同じような
減り具合だったのに気づき、
不思議がったといいます。
(昔話の「くわず女房」だと、米櫃の米の
減り具合が尋常でないことに気づき、夫が、
夜、寝ずに天井に隠れて見張っていると、
嫁が大きなおにぎりを、頭に隠れた大きな口に
放り込んで食べるという展開になりますが……)
しばらくして子どももできました。
働き者で、家族はもちろん、
誰にも優しく愛想がよい嫁に、
舅、姑は何の不満もなく、
不食のことは問題にすることもなく、
年月は過ぎていったのでした。
舅、姑は年を取り、亡くなりました。
夫も年老いていきます。
子どもも大きくなり、娘は嫁に。
そして息子は嫁をもらう年頃に。
けれど、一人、不食の母だけは、
昔と変わらぬ若いままだったのでした。
夫や息子たちは、やはり不思議に思っていたのですが、
そんな母を自慢こそすれ、それについて尋ねたり、
問いただしたりはしませんでした。
そんな息子が嫁を迎えました。
嫁入りしてしばらくしたあるとき、
息子は、嫁から、母が何も食べないこと、
老けないことについて尋ねられたのでした。
何も答えられない息子。
何度も尋ねられた息子は、ある日、
とうとう母を前に、嫁とともに、
不食、不老について、問い詰めたのでした。
母は、二人に台所に来るように告げます。
そして、これからおまえたちに秘密を教える
と語り、大鍋を出し、くどにかけ、
そこに様々な粉やら材料を入れ、
何かを作り始めたのでした。
かなりの時間がたち、
出来上がったのが、黒いどろどろしたもの。
母はそれをしゃもじで救い、手で一つずつ丸め、
小さな丸薬のようにして、台所の板に敷いた
白布の上に並べたのでした。
「これが不老不食の妙薬。作り方は今、
教えたとおり。これからは二人で作りなさい」
そして、台所の奥の水屋に二人を招き、
引き戸をあけました。
奥には、瓶が入っており、そのフタをとると、
中にはさきほど作ったのと同じ黒丸薬が、
びっしりと入っていたのでした。
「これを一月に一粒、口に入れれば、
お腹もすかず、若さを保てる。だが
他のものを食べたり飲んだりしては、
その効力は消え失せる。この丸薬を食べるか、
これまで通り、食べ続けるか。よく考えなさい」
二人は、母の秘密にたいそう驚きましたが、
そんな大切な秘密を明かしてくれた母に感謝し、
礼をいいました。
夜もふけたので、二人は床についたのでした。
まぶしい日の光に目をさました二人。
けれど、母の姿は、家にも畑にも、
どこにも見当たりません。
必死で探す二人。
けれど見つかりません。
母は、いずくへか消え去ってしまったのでした。
途方にくれた二人。
何日かたった夜、囲炉裏で二人は、
丸薬がはいった瓶を前に話し合います。
「この丸薬、飲むか?」
「これはお母さんが
残してくれた宝だから飲まない」
「そうだな。もし万が一のことがあったら
飲めばいい。それまでは取っておこう」
残された二人は、それから、
毎日、母のように懸命に働き、
仲むつまじく暮らしました。
子も生まれたのです。
幸いなことに、母の残してくれた丸薬を
一度も使うこともなく、また自分たちで
作ることもなく、長い年月がたちました。
二人は子や孫にも恵まれ、
夫、そして妻と、この世を去りました。
夫、妻ともに、いまわのきわに、
子たちに、母の丸薬のことを
言い残し、あの世に旅立ったのでした。
子孫たちが、その教えを守ったおかげか、
その家は代々さかえ、家の水屋には家宝として、
丸薬が詰まった瓶が伝え続けられているそうです。
ばあちゃんは、この話を何度もしてくれました。
そして話し終えると、いつも、
ばあちゃんちの水屋に自分を連れてきて、
戸をあけ、小さな茶色の瓶を
見せてくれたのでした。
「ばあちゃん、これは?」
そう尋ねても、ばあちゃんは、にこやかに笑うばかり。
ばあちゃん、そしてその配偶者のじいちゃんは、
ずいぶん前に亡くなってしまいました。
自分が面倒をみてもらい、二人が住んでいた家も
それから取り壊されてしまいました。
少し前、その跡地に立った時、
ふいにこの話を思い出したのでした。
「あの瓶は今、どこにあるのだろう?」
頭の中には、小さい頃見た、
茶色の小さな瓶が今でも
ありありと眼に浮かびます。
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