「ネマガリダケ」という食べ物をご存じですか?
「根曲竹」と書き、文字通り、根元が曲がっている
チシマザサの筍。
北海道や本州中部以北の深い山に生えています。
5月半ばころから6月さらに
7月半ば頃までがシーズンなんだそう。
以前、山形に丁度この季節に行った際、
イタリアンレストランで、フリットに
したものが出てきました。
(月山の名をとりガッサンダケと呼ぶ)
アクはほとんどなく、味は上品で淡泊。
香りも歯触りもよく、その美味しさに驚きました。
山形の地元の人は、買うのはもちろんですが、
自ら山に分け入って、
取ってきて、加工して食べるのだそう。
別の時、秋田に冬の時期、行った際には、
缶詰を出して説明してくれました。
その缶詰はなんと自家製。
というか、この時期に大量に取ったネマガリダケを、
町内にある缶詰工場に持ち込んで、缶詰にしてもらうのだそう。
その缶詰を使い、一年中、
ネマガリダケを食すんだとか。
ただ秋田では、ネマガリダケと呼ばず
「タケノコ」と呼んでいます。
今でも缶詰にするほど大量にとれているのかなー。
長野では、このネマガリダケと
サバ缶が入った味噌汁をいただいたことも。
北信濃の郷土料理ですが、
なんと缶詰(サバタケ)まであります。
山の中、冬には大雪が降る北国で
春から初夏にかけての、
自然からの贈り物が、「ネマガリダケ」。
ただそれは人間だけでなく、
ツキノワグマにも大切な贈り物。
彼らの大好物なんですね。
チシマザサは高さ2メートルほどもあるので、
そこに入ってしまい、夢中でネマガリダケを
とっていると、方向感覚を失い、遭難することも。
またやはり夢中になって食べている
ツキノワグマに遭遇することも。
山形の知合いの人は、大きな熊よけの鈴を腰にぶら下げ、
一人ではなく、奥さんと一緒に、ネマガリダケを
とりにいくそうです。
(中には、もっと大きな音が出る
「熊よけサイレン」を使い
クマに人間の存在を知らせる人も)
ネマガリダケは、人気ですが、
とるのがなかなか難しい場所に
生えています。
高齢化のせいで、採取量が減り、市場に出回る量が
減っているので、以前に比べかなり値上がりしているよう。
こうしたところから、自分で取りに行こうと
考えた人が、クマの被害にあっているのかもしれませんね。
人とクマとがうまく折り合う方法はないものでしょうか?
コメント