「勝利と敗北を同じように見つめられる者のみ、入るがいい」。ウィンブルドンのセンターコートに入る扉に記されているキップリングの詩の一節。

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吉田沙保里選手が、4連覇を逃しました。

驚きました。

少し前に書きましたが、
かつて大相撲で69連勝を果たした双葉山のように
「負けて騒がれる」選手だった吉田さん。

あの涙が印象的でした。

2016年8月17日、読売新聞。
《勝利と敗北のはざまで》。

これまで数々のオリンピックの取材経験があり、
今回のリオ五輪にも出かけている
編集委員の結城和香子さんが、体操男子の
内村選手と白井選手を見て、一文を書かれています。

冒頭に紹介されているのが、テニスの聖地ウィンブルドンの
センター・コートに入る選手が開く扉の上に、
掲げられている詩の一節です。

英国の詩人キップリングの「If」。

“If you can meet with triumph and disaster
And treat those two imposters just the same”

《勝利と敗北を同じように見つめられる者のみ、入るがいい》

白井が種目別ゆかで失敗を続けた後に、
結城さんが内村選手に尋ねました。
敗北が怖くないのかと。

《「どうでもいいんです」と彼は言う。負けても
悔いのない演技をするだけだと。
自分の演技というものをやり続けて来られた
からこそ、これまでがある》。

《敗北は、人間の死のようなものだ。王者にもいつか
必ず訪れる。その死を、平常心で見つめられるかどうか。
その境地になるとはどういうことか。競技を超えて内村は、
私たちに何かを津会えている》。

そして筆者は次のように結論づけます。

《敗北を、勝利と同じように見つめられる者。内村は
その心をこそ、日本の体操界を次に背負う白井たちに
伝えたいのだ。僕を見て、彼らが何かを感じてくれれば。
そう思って演技に臨んだ、とも言っていた》。

今回のオリンピックで4連覇を達成した伊調馨選手。
けれど今年2016年1月、ロシアで行われた
ヤリギン国際大会女子58キロ級の決勝戦で、
モンゴルの22歳のオホン・プレブドルジに、
フォール負けしています。

伊調選手は、この敗北から何かを学んだのではないでしょうか。

勝利と敗北を同じように見つめることはとても難しい。
敗北を見つめることはとても難しい。
けれど敗北からの方がより多くを学べるのではないでしょうか。

野球の野村克也さんの名言に
「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」。

負けの不思議を見つめられる者こそ、
次の勝利を呼ぶ者なのでしょうね。

上の詩文を書いたキップリングはインド生まれで、
イギリスで教育を受けた小説家・詩人でジャーナリスト。

一般には、狼に育てられ、様々な野獣との交流をしながら、
ジャングルの掟を学ぶ少年モーグリの物語「
ジャングル・ブック」の作者としてよく知られています。

「If」は、当時17歳の息子のジョン(愛称ジャック)を、
第一次世界大戦に送り出す際に贈ったものと言われています。

残念ながら、ジョンは1915年、フランスのルースの戦いで、
行方不明となり、戦死扱いとなります。
その後、キップリング夫妻は、しばらく息子を探し続けますが、
ついに1919年、その死を受け入れます。

そして、第一次世界大戦で亡くなった人たちの
追悼事業に力を入れることとなります。

キップリングは、息子に詩「My Boy Jack」をささげます。

それをもとに、1997年に戯曲化がなされ、
さらには、あのダニエル・ラドクリフが主演で、
2007年、BBCにより、テレビ映画となっています。
(なお日本では2008年7月にWOWOWで放送)。

またBBCは、2008年、ウィンブルドンのフェデラーとナダルによる
男子決勝戦の放送の冒頭に、二人が「If」を朗読する様子を流しました。

現在もそれを見ることができます。

《Rudyard Kipling’s Poem ”If” Read By Federer & Nadal》
https://www.youtube.com/watch?v=vEeLh5ItQcY

勝利と敗北。
人生、人間とは何かを考えさせてくれる
素晴しい映像となっています。

《If— by Rudyard Kipling》(全文、朗読音声あり)
https://www.poetryfoundation.org/poems-and-poets/poems/detail/46473

和訳が知りたい方。こちらに試訳が出ています。
http://sabers.senri.ed.jp/uploads/2/1/1/7/21174716/if_kiplingpoem.pdf

 

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