ある焼き肉店の店主。味のためにどんどん捨てる肉。儲けより信念。誠実さとは。

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先日、NHKの番組「プロフェッショナル」で、
山谷のコーヒー豆焙煎、喫茶店のカフェバッハ、
そして川崎の精肉、ソーセージ製造販売店が
紹介されていました。

(2015年8月24日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
プロフェッショナル仕事の流儀 これまでの放送

番組ホームページにもありますが、
どちらの店も「誠実」な仕事、
商売をされています。

コーヒー豆の焙煎。
その極意は豆や季節、天候によって異なる
煎り止めの時間にあるそう。

その前提として、不良豆を取り除く
ハンドピックという作業があります。

産地や農園を指定して仕入れた高級豆。
しかしその中には、形が悪い豆、生育不良の豆など、
そのまま焙煎すると、味を悪くする豆が
混じっています。

それを一つ一つ目視して、手で
丁寧に取り除いていく。
そうして初めて雑味のないコーヒーが
出来上がるのですね。

ところが、その選別を厳しくして、
不良豆をどんどん取り除いていくと、
売れる豆の重量は減っていく。

豆を取り除けば味は向上するが、
焙煎できる重さは減り、
もうけは少なくなっていくのです。

ここで自分ならこう考えます。
不良豆といっても、それが入ることによって、
どれほどの味が落ちるか。

取り除かないことによる味の劣化と、
豆の重量による売り上げの減りを比較。

前者が経済的に少なく、後者が多ければ、
その豆は取り除かず、焙煎に回す……。

ところが、カフェバッハの
店主田口さんはそうは考えない。
お客さま第一、味を優先。

自分たちの基準で、味が落ちる豆は、
どんどん取り除いていくのです。

精肉店のご主人畑さんもそう。

仕入れた最高級の豚肉。
それが自分の味の基準に達しなければ、
決して販売しない。
おそらく素人には、わからないくらいの
味の差だと思うのですが、妥協はしない。

精肉にする場合も、
またソーセージやハムに加工する場合も
使えない悪い部分をどんどん取り除いていく。

これまた当然ながら、取り除けば取り除くほど、
売れる重量は減っていきます。

味は向上するものの、捨てた分だけ、
値段が上げられるかというとそうでもない。
その分、もうけは薄くなる。

誠実な商売の姿勢はどちらのお店にも
共通するところがありました。

テレビで紹介されたこの2店とは、違うお店でも、
こうした商人としての信念を感じさせてくれる
素晴らしいお店にこれまで出合ったことが
いくつもあります。

その一つが、大阪の焼き肉店。
大衆的で煙もうもうのお店ですが、
その肉と味付けは最高級。

店主は、国産の、生の和牛しか仕入れません。
そうして仕入れた貴重な肉を、さらに徹底的に掃除します。

掃除とは、余分な脂、筋、不良部分などを取り除くこと。

店主の妻や子どもはそれを見て、
「お金をどんどん落としている」と嘆いているそうですが、
一方では、それほどまでして質と味を守ろうとする
ご主人を心底、尊敬している姿が見えました。

ある時、業者から、国産和牛の冷凍物を
勧められたそう。

仕入れの値段は、冷凍物だと格安。

試しに二つの肉をブラインドで
店主の家族や従業員に食べ比べさせたそう。

味の違いがわかったのは、
店主を除きただ一人。

みな、これほどの味なら、お客さまも納得する。
冷凍の肉を仕入れて、これまでより安く出せば、
お客さまも喜び、お店も繁盛する
冷凍肉も出すことを勧めたそう。

商売的にはそれが正解なんでしょうね。

しかし、店主は、それを拒否。
自分の信念を曲げてまで商売をすることは出来ない。
一度そこを崩してしまうと、ずるずると
なし崩しになる恐れがあるからと。

それぞれの商売、職業では、分野分野で、
決して譲れぬ「誠意」があると思います。

自分の最近の仕事ぶりなのか、
世情のせいなのか、
なぜかこの焼き肉店の店主の
姿や言葉を思い出しました。

プロフィール
この記事を書いた人
niki

35年以上にわたり、TV、ラジオ、
イベント制作に携わる。30年余
り、放送関係の専門学校講師を
勤め、企画書、台本の書き方を
教える。10年余りホテルの食に
関するHPの制作、コンサルタ
ントも、行う。新聞は小学4年生
から読み始め、多い時には13紙
を愛読。
ブログ「トクダス」
https://nikitoki.blog.ss-blog.jp/
ブログ「人生やり残しリスト」
https://yarinokoshi.blog.ss-blog.jp/

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