あなたは、知らない場所に行くとき、
スマートフォンの地図アプリを使いますか?
昔は、新しい知らない場所に行くときは、
地図をコピーしたり、地図を片手に見ながら、
なんとかたどりついたものです。
今は、スマートフォンを片手に
その地図上の点を見て、それに従っている。
そんな方、多いのではないでしょうか?
取引先の知合い。
以前からもそうでしたが、
今もその信念を貫いていることを改めて知りました。
その信念とは、新たな場所に行くときに、
事前にスマホ、パソコンの地図で場所を
確かめるのはいいが、歩きながら地図を見ない。
案内ソフトは使わないというものです。
これは高校時代に漢文だか、倫理社会だかの
授業で習った荘子の「機心」が頭にずっと
残っているからなのだとか。
あなたは、「機心」(きしん)をご存じでしょうか?
辞書を引くと、次のように書かれています。
《機を見てはたらく心。また、はかりごとをめぐらす心。》
https://kotobank.jp/word/%E6%A9%9F%E5%BF%83-240838
そちらではなく、機械に頼る心という意味の方です。
中国の「荘子」が出典です。
孔子の弟子の子貢は、老人が井戸の中に入り、
甕で水をくんでいるのを見て、時代おくれと驚きます。
水をくみ畑に水をまくなら
「はね釣瓶」という便利な機械があるのです。
老人に尋ねた所、知ってはいるが、使わないと。
訳を聞いて心を揺さぶられたのです。
老人は次のように答えました。
「機械を使い出すと、必ず機械に頼る仕事が増える。
そうした仕事が増えると、頼る心=機心が生じ、
とらわれてしまう」。
荘子の「天地篇」の中に
「有機械者、必有機事。有機事者、必有機心」。
これは、
「機械あれば必ず機事あり、機事あれば必ず機心あり」
と読み下されます。
つい先月、日本小児科医会と日本医師会が発表した
ポスターに、
「スマホを使うほど、学力が低下する」
とのフレーズがあり、物議をかもしました。
上のフレーズが果たして事実なのかどうか、
まだ確定的に結論づけられません。
しかしスマートフォンに限らず、
様々な文明の利器は我々の生活に
大きなプラスをもたらしてくれる反面、
もしかしたらそれまで持っていた能力を
衰えさせるといったマイナスの面を
持っているのかもしれません。
古代中国の荘子の機心。
頭に入れて置いた方がよいのかもしれませんね。
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