小学生時代の話ですから、
今から相当前の話です。
駄菓子屋でシュークリームを売っていました。
といっても、今時の上等なものではなく、
数十円という安さで、怪しいクリームを
その場で詰めてくれるものです。
シュー(皮)は、店先の、
上に灰色のブリキのフタのついた
四角いガラス瓶に入っていました。
注文があると、四角いお弁当箱のような中に入っている
黄色いカスタードクリームをへらですくって、
そのシューに詰めてくれるんですね。
召しあがったことがあるという方、
いらっしゃると思います。
(今でもあるのかなー?)
次のニュースを読んで、
そのシュークリームのことを思い出しました。
2015年8月14日の新聞に、
《偶然の産物「米ゲル」 保存料なしでも傷みにくく》
との記事が出ていました。
米を材料にした「米ゲル」で作ったシュークリームの皮が、
2年以上たっても、ほとんど劣化せず、カビも生えていない
というのです。
その米ゲルとは?
米をゼリー(ゲル)のようなぷるぷるに加工したもの。
茨城県つくば市の食品総合研究所が開発した製品です。
http://www.naro.affrc.go.jp/nfri/
原料は主に飼料向けに使われる「高アミロース米」。
なので原価は安い。
それを機械で高速でかき回して作るのだそう。
利点は、原価が安く、簡単につくれる、
さらに保存料を加えなくても傷みにくい。
用途は、パンやお菓子などの加工品の材料に
なるのではないかとされています。
この米ゲルの誕生は、画期的な発明に
ありがちなんですけれど、今から5年ほど前、
研究員が、他のものを作ろうとした実験で出来たとか。
目的のものは出来ず、失敗したと放置しておいたところ、
数日しても、ぷるぷるの状態を保っていたので、
本格的な研究を始めたとのこと。
〇ほぼ無味無臭。水分量やかき回す時間を変えれば、
硬さが自由に調整可能。
〇シュークリームの生地に混ぜ焼くと
パリッとした感触がいつまでも保たれる。
うどんの場合は、コシが強い麺が出来る。
すでにこのゲルを使った時の効果はわかっているのですが、
なぜそうなるのか、傷みにくいのかの理由は未解明。
実用化とともに、その謎を解き明かす研究が進んでいます。
はやく一般的になってほしいですね。
情報公開日:2013年10月22日 (火曜日)
《驚きの食感!米原料の新規ゲル状食品素材の製造法を開発》
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nfri/048823.html
《ポイント
高アミロース米を原料として、やわらかいゼリー状から
高弾性のゴム状まで多様な物性のゲル状食品素材が
製造できる技術を開発しました。
米を原料とした洋菓子やもちもち感のある米麺、
餅等の製造に活用できます。
油脂を使用しない低カロリー食品、小麦、卵、
ゼラチンを加えない菓子等の製造が可能になります。
例えば、シュークリームのシューとクリームの
両方の原料を小麦粉から米に置き換えることができます。》
シュークリームの思い出
夏のこと、ある田舎の山の村に出かけました。
そこは村にお店が一つしかないような場所です。
その店はよろず屋さんで、食料、お菓子から、
荒物などなんでも売っています。
上に述べたシュークリームも販売していました。
見慣れたガラス瓶にシュークリームの皮が
半分ほど詰まっていました。
食べたかったのですけれど、
子どもながらふと思いました。
「こんな小さな村であのシュークリーム、
1日何個売れるんだろう?」
1日1個も売れないかも……。
あの瓶の中のシューは何日前のもの。
いくら焼いたもので腐りにくいものでも、
限度があるだろう。
そう思ってシュークリームを食べるのをやめ、
1個しかなかったあんパンを選びました。
もしそのころ、この米ゲルがあれば、
ためらうことなく、シュークリームを
選んだに違いありません。
今どきの美味しいシュークリームではなく、
あの昔ながらの駄菓子屋のシュークリーム、
もう一度、食べて見たいですね。
けれど思い出としてとっておく方が
いいのかもしれませんね。
コメント
2016年1月13日、NHKのまちかど情報室で《お米が変身!》として、
米ゲルを使った製品が紹介されました。
http://www.nhk.or.jp/ohayou/machikado/20160113.html
《お米のジュレーゼ》《道の駅「つどいの郷むつざわ」》
http://tsudoinosato.com/
シュークリームのほか、ガトーショコラやロールケーキなどの試験的な販売も
始まっているとのこと。