形見分け。
亡くなった人を思い出すよすがとなる品を、
親しい(目下の)人に分けることですね。
あなたは、形見分けを体験したことがありますか?
自分はあります。
本、万年筆などをいただきました。
個人が愛用していた物をいただくというのは、
何か特別な感情を呼び起こしますね。
親戚の間で今でも語りぐさになっている
「形見分け」がいくつかあります。
その一つが母方の曾祖母の時のものです。
自分が生まれる前のことなので、
母や伯母さんなどから聞いた話です。
曾祖母は料理上手で裁縫上手。
なのでそれにあやかろうと、
使っていた包丁そして裁縫道具、
さらには自分で仕立てた着物を
親戚中の女の人が欲しがり、
それぞれ落ち着き先を決めるのに
大変だったそう。
もう一つは大伯父の時。
艶福家で知られた大伯父は、お葬式の時に、
本家の伯父さん伯母さんたちが知らない、
兄弟姉妹甥姪が何組も現れたそう。
それぞれに生活に苦労しないように、
家や財産を残していたので、相続では
もめなかったのですけれど、形見分けでは、
取り合いとなったとのこと。
大伯父が使っていた櫛、ひげそり、眼鏡、
そろばんなど、本人を身近に感じさせる
ものを皆が欲しがったのですね。
けれど、昨今では、曾祖母や大伯父とは逆に、
結局、だれもが欲しがらず、遺品整理業者に、
処分を任せるということも多いのだそう。
また形見分けだと、必ずしも自分が
欲しいものではないものが回ってくる可能性があるため、
もらったものの、その後、死蔵してしまう事も多いようです。
という訳で、そうしたことにならないよう、
形見分けではなく、生きている間に、
物の行き先を決めておく人も増えているとのこと。
祖母もその一人で、回りの人に、どんどんと着物などを
あげて、最後の方は、3着ほどになっていました。
知合いの方は、あるとき親戚や親しいご近所さん、
年下の友人などとともに、ある方の家に呼ばれたました。
座敷に着物、アクセサリー、趣味の道具など、
その家の人がプレゼントしたいものが並べておかれていたそう。
形見分けならぬ「生前プレゼント」パーティーだったみたいです。
こうすると、渡す方もだれに継いでもらうかがわかり安心。
もらう人も、自分の趣味にあうものがもらえるので、
「形見分け」より、心がより通う気がします。
生前に愛用の品を分ける「生前プレゼント」。
そう考えるとなかなかいいなー。
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