間違いやすい日本語。破天荒。敷居が高い。割愛。失笑。爆笑。「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

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2015年5月10日、テレビ朝日で、
「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」という
番組を放送していました。
http://www.tv-asahi.co.jp/hanataka/

番組独自の調査をもとに、
日本人の3割しか知らない話、エピソードを
クイズ形式で紹介していく番組です。

刺身に添えられる菊の花の役割、
貧乏ゆすりの効能などについての
「真実」が取り上げられていました。

いくつかあるコーナーの中には、
「言葉にまつわるハナタカ」もありました。

よく知られていながら、実はその使い方が
間違っていたり、本来の意味とは異なる
表現、言葉が出ていました。

文化庁の調査などでも、
問題になることが多いものです。

番組で出てきたのは、
破天荒、敷居が高い、割愛、失笑、爆笑。

いかがですか。
あなたは、これらの意味、用法をご存じですか?

破天荒は、「大胆で豪快な様子」「無鉄砲」「奔放」
と言った意味で、使われている方も多いのでは?

破天荒のもともとの意味は、
「今までだれも成し得なかったことを初めて行うこと」。
同様な表現には、前代未聞、未曽有(みぞう)、空前があります。

これは、中国の科挙の制度に由来します。
唐の時代、荊州(けいしゅう。現在の湖北省)からは、
科挙の合格者である進士が一人も出なかったので、
「天荒(=天地未開の時の混沌たるさま、不毛の地)」
と言っていました。

けれどついにこの地、出身の劉蛻(りゅうぜい)が合格。
そこで、人々は、「天荒を破った」、
すなわち破天荒と言った、との故事に基づく言葉です。

敷居が高い

高級で値段が高そうな料理店を、
「あの店は敷居が高そう」などと使っていませんか?

「敷居が高い」は、面目ないこと、不義理なことがあり、
その家の敷居がまたげない、その家に行きにくい
といった場合に使われる表現。

なので、番組のVTRのように、
初めての店を訪れる前に使ったり、
「このコースは入門者には敷居が高い」のように
程度や難度が高いという意味で使うのは誤りです。

3つめは、「割愛」。

これは、無駄なので省略する、はしょる
といった使い方をされています。

割愛は、もともと仏教の言葉で、
愛着(仏教的には良くない)の気持ちを断ち切ること。

そこから、惜しいと思いながら、思いきって捨てること、
手放すことを言います。
また広い意味では、時間の余裕が無いので、
文章や演説などの一部を省略する場合に用いられます。

「無駄」ではなく、「捨てるには惜しいもの」を
省略するところに力点があります。

失笑は?

《「失笑」はバカにする言葉ではない!?
・「失笑」は笑ってはいけない場面で、
緊張で思わず笑い出した時やあまりのおかしさに
ふきだしてしまった時に使う》

本来、失笑は、常識外れの言行を前に、
思わず笑ってしまうこと。

この場合の「失」は「過ち」とか
「うっかり」といった意味です。

失笑の原因となるのは、他人の言行ですが、
「失笑する」のは、自分です。

それとは逆に、自分としては、ちゃんとしたことを
言ったりしたつもりなのに、相手から、
とんでもないこととして笑われる場合。
すなわち自分の行為が、相手の笑いの
対象となる場合は、「失笑を買う」といいます。

番組では、下手なギャグや、冗談を言ったときに、
その言った相手をバカにする意味で使っているのは
間違いという前提で描かれていました。

上にあげたスーパーでも、
《バカにする言葉ではない》とありますが、
「失笑」の中には、侮蔑の意味が
入っていることがあります。

明鏡国語辞典では、
《[表現]近年、あざ笑うこと・冷笑の意で
用いられることが多いが、「失笑」は思わず笑う意で、
その笑いは冷笑に限定されない》。

また新明解国語辞典第7版では、
《〔侮蔑(ブベツ)を含意する〕》とあります。

デジタル大辞泉
《[補説]文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、
本来の意味とされる「こらえ切れず吹き出して笑う」で使う人が27.7パーセント、
本来の意味ではない「笑いも出ないくらいあきれる」で使う人が
60.4パーセントという逆転した結果が出ている。》
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/98471/m0u/

「同じ間違いを繰り返すなんて、失笑もんだよ」

この例文では、「失笑」を
「笑いも出ないくらいあきれる」
との意味で使っているが、誤用。

本来の失笑は、「笑ってはいけない場面などで、
こらえきれずにうっかり笑ってしまうこと」。

「吹き出した」と言い換えられるかも。

「噴飯」は、面白かったり、馬鹿馬鹿しくて、
食べかけの御飯を急にふき出すという意味。
「そりゃ噴飯物(ふんぱんもの)だね」という風に使う。
非難したりする場合に使うのは間違い。

また「くりぃむしちゅー」の有田さんが、
多くの人が間違えて使っている「失笑」の
シチュエーションを言い換える場合、
「苦笑する」と表現していましたが、
これも少し違うかなと感じました。

「苦笑」は、相手が何か言ったとき、自分は、
同意しない、違うとにがにがしく思いながら、
しかたなく笑うことです。

(「バカにして」笑う場合、さげすみ笑い=冷笑の場合は、
「失笑」ではない。「面白すぎて思わず笑ってしまった」
場合のみを失笑と考えると区別がつきやすいが、必ずしも
そのようには割り切れないというのが本ブログの立場)

笑いに関連しては、「爆笑」もあげられました。

爆笑は、一人で大きく笑うこと、激しく笑うこと。
そう思っていませんか?

一人で大きく笑うのは「大笑い」。
「爆笑」は、大勢の人が、一度にどっと笑うこと。
あくまで複数の人が笑う場合です。

日本語、知っているようでなかなか難しいものですね。

プロフィール
この記事を書いた人
niki

35年以上にわたり、TV、ラジオ、
イベント制作に携わる。30年余
り、放送関係の専門学校講師を
勤め、企画書、台本の書き方を
教える。10年余りホテルの食に
関するHPの制作、コンサルタ
ントも、行う。新聞は小学4年生
から読み始め、多い時には13紙
を愛読。
ブログ「トクダス」
https://nikitoki.blog.ss-blog.jp/
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