京大の山極寿一総長の2017年の入学式での式辞。ボブ・ディランの歌詞の引用があるから、使用料必要かもとJASRAC。

スポンサーリンク
未分類

これにはびっくりしました。

まだ確定した訳ではないようですが、
もしかしたら京大が、総長の式辞で、
JASRACに使用料を払うことになるかもしれません。

今年2017年の入学式で、
京都大の山極寿一総長は、2016年にノーベル文学賞を
受賞したボブ・ディランさんの「風に吹かれて」
の一節を引用しました。

その式辞全体を、京都大学のホームページに掲載。
その中では、英語の歌詞と日本語訳も含まれています。
最後に、
《(“ ”は、Bob Dylan氏の「blowin’ in the wind」より引用)》
と。

《平成29年度学部入学式 式辞 (2017年4月7日)》
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/president/speech/2017/170407_1.html

式辞では、「風に吹かれて」の歌詞を
10行使っています。
全体の歌詞は24行ですから半分以下。

式辞はこの他に、
茨木のり子の「6月」という詩も引いています。
こちらは全文。

JASRACが動いたのは、曲の方。
外部からの指摘で、これを知り、
5月上旬に担当者が京大に電話で
事実関係を確認したとのこと。

京都大学、そしてJASRACの広報担当者ともに、
そうした電話があったことは認めています。

京都大学は、式辞の中で歌を取り扱ったことについては、
適正な引用であり、許諾を有しないこと。
使用料が発生する可能性についてはJASRAC側から
聞いたものの、具体的な請求金額などは不明で、
今後、大学側から何か対応することはないとのことです。

著作権法上、適正な引用と認められるには、
条件があります。

著作権法の第32条。
《その引用は、公正な慣行に合致するものであり、
かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上
正当な範囲内で行なわれるものでなければならない》。

1,公正な慣行に合致
2,引用の目的上、正当な範囲

著者の独自部分が主で、
引用部分は従であること。(主従関係)
引用の必要性(必然性)があること
(主張・考えを補強するのに必要であるなど)
さらに引用元(出典)の明記(同法48条、明瞭区分性)
が必要とされます。

文化庁、著作権Q&A
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000304

歌に関する限り、京都大学に言うように、
式辞は適正な引用と思われるのですが……。

※JASRACからの問い合わせが怖いので、
このブログ上に、式辞が使った歌詞部分は
掲載していません。
詳細、どこの部分を引用したかは、
上記、京都大学のリンクをご覧ください。

山極寿一総長は、世界的にも有名なゴリラ学者。

[amazonjs asin=”4797672765″ locale=”JP” title=”「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)”]

追記2017年5月20日
茨木のり子の「六月」ですが、
JASRACの管理曲のようです。

http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/main.jsp?trxID=A00401
その一例。
http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/main.jsp?trxID=F20101&WORKS_CD=00531871&subSessionID=001&subSession=start

上記、本文に少し書いたように、
ボブ・ディランより、
こちらの方が著作権の「引用」の
問題が大きいと思います。

東京新聞、2017年5月20日、「こちら特報部」の
記事によれば、
《JASRACの担当者によると、印刷ができるHPに
歌詞を掲載すると、公私や目的、分量を問わず、
許諾や使用料が必要になるという。ただ「一網打尽に
権利が働くわけではない」らしい》。

使用料については、
《日本の楽曲の場合、個人のHPに掲載すると
一曲月額百五十円、学校など閲覧者の多いHPは
一曲月額三百円、外国の楽曲はより高額で、商用、
非商用にかかわらず、HPの閲覧一回ごとに二十円、
もしくは月額五千円だという》とあります。

うーん、これは。
著作権法上の「引用」との法的整合性は、
どうなっているんだろう。

追記(2017年5月20日午後0時)
JASRACのサイト内
《教育機関によるインターネット上での音楽利用》
http://www.jasrac.or.jp/info/network/nbusiness/education.html

非商用配信の場合も手続きが必要。
許諾を得なければいけないみたいです。

なお学校の校歌については、以下の規定が、
《※校歌の掲載
学校のサイトにその学校の校歌のみを掲載する場合は、
所定の申込みをいただくことで、当分の間使用料を免除する
こととなっています。
手続きについては「校歌のご利用について」をご参照ください》

おお、やっぱり校歌でも手続きが必要で、
今のところ、使用料は免除されているものの、
本来ならば使用料がかかるってことですね。

追記2017年5月20日午後0時06分
以下に使用料が具体的に記されています。
《使用料早見表》
http://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html

文化庁
《著作物が自由に使える場合》(許諾不要で無償)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html

プロフィール
この記事を書いた人
niki

35年以上にわたり、TV、ラジオ、
イベント制作に携わる。30年余
り、放送関係の専門学校講師を
勤め、企画書、台本の書き方を
教える。10年余りホテルの食に
関するHPの制作、コンサルタ
ントも、行う。新聞は小学4年生
から読み始め、多い時には13紙
を愛読。
ブログ「トクダス」
https://nikitoki.blog.ss-blog.jp/
ブログ「人生やり残しリスト」
https://yarinokoshi.blog.ss-blog.jp/

nikiをフォローする

Amazonサーチ
未分類
スポンサーリンク
シェアする
nikiをフォローする

コメント

  1. niki nikitoki より:

    2017年5月24日、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、山極学長の式辞内の歌詞の使用は、著作権法上の「引用」にあたるとして、著作権料を請求しない方針を明らかにしました。