働き始めて間もない頃、
同じ職場の先輩から言われた言葉を
今でも覚えています。
「大きな本屋に行って、絶対自分が読まない、
行かないジャンルの売り場に行け。そして、
目をつむって一冊選び、それを買え」。
本だけではなく、レコード(まもなくCD)や、
映画、雑誌、店(飲み屋)などについても
同様なアドバイスをしてくれました。
今から考えると、若い内から自分の興味の
ある分野だけに凝り固まっては、視野や
知識の幅が狭くなる。
これまでの興味、知識にとらわれず、
目を広く他のところにも向けよという
教えだったのだと思います。
産経新聞、2017年5月17日。
《【みうらじゅんの収集癖と発表癖】
向いてない映画 自意識と対峙する修行》
http://www.sankei.com/life/news/170517/lif1705170027-n1.html
みうらさんがもう何年もしている修行は、
《毎月、新作映画のラインアップを見て、“これは向いてないな”
と思うような映画をわざと映画館に観に行く》こと。
具体的に見に行った映画のタイトル、
顛末も記されています。
「チア☆ダン」、
タイトルをうろ覚えでいき、チケットの窓口で、
訂正されたという「犬のおまわりさん てのひらワンコ3D」。
「近キョリ恋愛」という映画では、
《まわりがほとんど女子高生で、
変質者だと思われてやしないかとヒヤヒヤした》そう。
劇場で浮く経験をしたり、かと思えば、
「わさお」というブサ犬映画では、
目を泣き腫らしたとか。
今月は「PとJK」との警官と女子高生の
ラブストーリーを見に行こうというみうらさん。
いやー、すごい。
若い時なら暇があるので、
無駄も許せますが、年を取り、
好みも固まると、こうした失敗は許せないもの。
それは、映画、芝居などエンターテイメントに限らず、
食事などでも言えるかもしれません。
いつもの店の、いつものあの味。
それは楽で失敗もない。
安心です。
けれどそれは一方で、自分の選択が正しかったどうか
というわくわく感や、失敗した時の悔しさ、
失望などの感情を奪っているのかもしれません。
年を重ねても、自分のこれまでの好み、嗜好に
とらわれない「冒険」をしたいものです。
コメント