12月1日。
月の第一日は朔日(さくじつ、ついたち)。
以前、別のところに書いたこともあるのですけれど、
関西方面の商家では、1日と15日の朝、
小豆ご飯(または小豆がゆ)を食べるのを
常としていました。
親戚の家は大きな商家でしたが、
自分が小学生の頃に行った時は、
この習わしをまだ守っていました。
小正月である1月15日に、
邪気を払い一年の健康を願い、
小豆がゆを食べる風習があります。
これは一般にもよく知られていますね。
それを毎月の朔日と15日に行うのです。
これは上のような願いもあったようですが、
白米だけだと不足しがちなビタミンを、
小豆がゆで補うということもあったようです。
(疲労回復、脚気防止)
昔の商家では、月に2日、
働く者の健康に特に留意し、
そのための食事をとっていたんですね。
知合いの方が、少し前おしえてくれたこと。
それは、月に一度、体また精神も含め、
自分に向き合う日を持つよう決めているということ。
その日が朔日1日なんですね。
なぜ1日にしたのか?
忘れず覚えやすいこともありますが、
伊勢神宮の「お朔日参り」をヒントにしたとも。
これはどういうことなんでしょう。
「お朔日参り」は、1日の朝早く神社にお参りすること。
無事に過ぎた前月と、これから始まる一ヶ月の無事を
お祈りする行事です。
(伊勢神宮の参道にあり、お朔日参りの方のための、
赤福の朔日餅は有名ですね)
振り返り、これからをうまく過ごすために
時間を作る。
知合いはそうこの「お朔日参り」を解釈したのですね。
知人の言う「自分のための日」というのは、
ともかく「自分」のことを考え、向き合う日ということ。
自分の健康状態をチェックする日でもよいし、
日課、目標がちゃんとできているかを
確かめる日てもよいし、
自分にご褒美を与える日てもよい。
日頃の忙しさの中で、後回しにしがちな
「自分」を大切にするための機会を
与える時間を持つのが大切ということのようです。
そうそう12月1日は、「乙子の朔日(おとこのついたち)」。
(「おとご」と呼ぶ場合も)
「乙子」は「末子」で、1年のおわり陰暦12月のこと。
この日に餅をついて食べると水難を免れるとの言い伝えがあります。
「川渡りの朔日(かわわたりのついたち)」とも。
この日、小豆を食べないうちに橋を渡ると
悪いことが起こるとされているので、
朝に、小豆餅(もしくは小豆団子)を食べるんですね。
なので12月1日の小豆餅を「乙子の餅(おとこのもち)」
「川渡り餅」と呼びます。
冬至にも小豆がゆ、カボチャと小豆のいとこ煮などを
食べる風習がありますけれど、先人は時々に
行事食を作って食べて体をいたわっていたのですね。
この知恵を、知合いのように
自分なりにうまく取り入れたいものですね。
○料理研究家の辰巳芳子さんのところでは、
今でも1日、15日には小豆ご飯を炊き、
スタッフの方々と一緒に召しあがるとのこと。
○12月1日、朝ではなく、お昼にいただきものの
「あんころ餅」をいただきました。
○昔の人が1日と15日に小豆ご飯を食べたり、
1日にお参りしたりしたように、
節目をつけ、立ち止まる時間を持つ。
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