61歳の女性がメールに記した「ネズミに引かれないように」。
「ネズミに引かれないように」。
こんな表現がメールに書かれていたら、
あなたは、わかりますか?
2015年4月17日、読売新聞の投稿欄《ぷらざ》に
掲載されていた投稿は、
《ネズミに引かれないよう》との見出しがついていました。
栃木県の61歳の女性が、
広島に住む次男の妻に送った電子メール。
次男が出張で家を2晩も空けるので、
《防犯について細々伝えた後、「ネズミに
引かれないように」と付け加え、メールを
送った》そう。
翌朝の返信には、《「ネズミに引かれずに
無事に一夜を過ごしました」とあった後》、
意味をネットで調べた旨、書かれてあったそうです。
投稿された女性は、この表現を次のように説明しています。
《「家の中に一人きりで寂しいこと」を意味するこの言葉、
留守番の人をからかうときにも使う。ちょっと愉快な言葉だと思う》。
祖母、母も使っていた表現。別の意味も。「物がなくなる」
これ母や祖母などが使っていました。
言われたことがあります。
一人で留守番をする時よりも、
夜遅くまで寝ないで騒いでいる時に、
「ネズミに引かれるよ」と注意されました。
食器類を入れた「水屋(みずや)」が
台所の横に置かれていました。
その中には、お客さん用のお菓子や、
家族用のおやつなども入っていました。
それをこっそりつまみ食いをした時なんかも、
「ネズミに引かれた」とか
「頭の黒いネズミが出た」なんて言ってました。
以下のサイトでは、その由来、
使い方が書かれています。
NHKトクする日本語
《2010年7月21日(水)「ねずみにひかれる」とは?》
http://www.nhk.or.jp/kininaru-blog/55144.html
上の記事の最後に、
《今ではあまり耳にしなくなったこの言葉。いずれ消えてしまうのでしょうか》
と書かれていますが、確かに余り使われなくなってしまいました。
小さいころ、慣れ親しんだ表現が消えていくのは
その使われる情景も失われるようでなんだか寂しいですね。
この表現はどの地域で使われてきたのか。古い表現、上の世代が使う。
「家の中に一人きりでいて、さびしいこと」「そこにあったものが無くなってしまう」。
そういう場合に使われる「ネズミにひかれる」との表現。
「ネズミに引かれないように」とは、「ネズミに引っ張っていかれないように、
気をつけて」と注意を促すというか、ちょっとした冗談としても使いますね。
個人的な経験ですが、この表現は、東京、関西、四国、九州などの友人、知人も
使ったり、知っていました。
しかし年代で言うと、40~50代以上。
なので、地域性、方言というより、古い表現で、比較的上の世代の人たちが使う
表現なのかもしれません。
以下は主要な辞書がどう記述しているか。
(日本国語大辞典精選版、明鏡国語辞典、新明解国語辞典などにはなし)
kotobank、デジタル大辞泉、「鼠に引かれる」
家の中に一人きりでいて、さびしいことのたとえ。
https://kotobank.jp/word/%E9%BC%A0%E3%81%AB%E5%BC%95%E3%81%8B%E3%82%8C%E3%82%8B-594997
なお広辞苑第六版では、《ねずみにひかれそう【鼠に引かれそう】
家の中にたった一人で、淋しい様子のたとえ。》となっています。
大辞林でも同様な記述。
どの辞書でも方言という指摘はないですね。また古語(古語表現)といった指摘もなしです。
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