東京新聞の
《知りたいコトバ 知っている?言葉》という連載。
校閲部の方がニュースに出てくる言葉について
書かれているもので、愛読しています。
2016年2月16日では、
「快気祝い」が取り上げられていました。
《<知りたいコトバ 知っている?言葉>快気祝い》
http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/nie/CK2016021602000195.html
経済再生担当大臣を辞任した甘利明議員が、
《一月二十八日の記者会見では、神奈川県大和市の地元事務所で
受け取ったお金の趣旨について「快気祝い」と説明してい》
たのですね。
校閲部の東松充憲さんは、
《あのときの甘利発言に即座に反応してダメ出しをすべきでした。
「そういうのは世間では『快気祝い』とは言いませんよ」と》。
なぜでしょうか?
あなたならおわかりのはず。
《快気祝いは普通、病気療養中にお見舞いを受けた側が、
「おかげさまで病気が治りました」といった報告を兼ねて
お返しの贈り物をすること》だから。
甘利議員は、2013年12月に早期の舌ガンが見つかり、
手術を受けた後、翌年1月、公務に復帰しました。
そして建設会社から、2014年2月に地元の事務所で、
50万円が入った封筒を受け取り、それをスーツの
内ポケットにしまったと報道されています。
(2度目の現金授受。1回目は50万円で2013年の11月。
こちらは大臣就任祝いとの趣旨と説明)
会見の時の発言
《甘利 お祝いに来られます、と。快気祝い。私、ガンから克服して
一月内でしたから。お話も、詳しくはないですけど、だんだん思い
出してきたのは「ガンから回復されてよかったですね」とか、
「大臣は日本にとっては、これからどんどん働いてもらわないと
いけないから、これからももっともっとがんばってください」とか、
そういう話をされましたから。》
この件に関しては、週刊誌でも報道されていますけれど、
「快気祝い」に突っ込みをいれているのは、知る限り、
東京新聞のこの記事のみですね。
記事の筆者は、最後に皮肉っぽく、
《もっとも、贈答や冠婚葬祭の慣習は、
地方によって事情が異なる例もないわけではありません。
普通の市民の感覚とは違い「現金を受け取るのは
あくまで政治家の側」が永田町の「快気祝い」の常識だ
というのであれば、話は別です。》
と締めています。
もう一度、確認しておくと、「快気祝い」は、
《病気が全快した時,病気中に見舞いをしてくれた人に
贈り物などをしてお礼をすること》(大辞林)ですよね。
甘利明議員は、「快気祝い」を一般的な意味とは、
全く逆の使い方をしていますね。
言葉の使い方はともかくも、
のし袋の結び切りの趣旨と同じく、
二度とこうした政治と金にまつわる事件は
起きて欲しくないですね。
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