リオデジャネイロ五輪では、
熱戦が続いています。
日本人選手。
実力を発揮した人もいれば、
普段の力を出せず敗れた人も。
一瞬のすきをつかれかけられた技で敗れたり、
あのときの一球を捕っていれば、入れていれば、
勝てたのに……。
見ていると、勝ち負けの差は
ほんとうに紙一重ということが多いと感じます。
2016年8月10日の読売新聞、「編集手帳」。
イチロー選手の
大リーグ3000本安打にからめた内容です。
冒頭に紹介されているのが、
不世出の横綱双葉山の69連勝を阻んだ
安藝ノ海に関するエピソード。
安藝ノ海は、師匠の出羽海親方がきっと
喜んでくれる、ほめてくれると思って部屋に戻ります。
「親方、勝ちました」。
ところがニコリともしない師匠。
そして次のように告げたと言います。
「節男(安藝ノ海の本名)、
勝って騒がれる力士より、
負けて騒がれる力士になれよ」。
(「勝って褒められるより」と伝えるものもある)
さすが師匠。
弟子に一段高い境地を目指すことを
求めたのですね。
安藝ノ海は、この後、「双葉山に勝った自分は
みっともない相撲はとれない」と稽古に励み、
横綱に昇進します。
「横綱になれたのは、あの一番があったから」と
答えていた安藝ノ海ですが、その後、双葉山には
一度も勝てず9連敗。
優勝は関脇時代のわずか1回のみ。
横綱在位は8場所で、
1946年11月場所で引退しました。
横綱となった安藝ノ海ですが、
果たして親方の言ったように、
「負けて騒がれる力士になれ」たかどうか。
親方の言った言葉は、こと勝負の世界だけでなく、
仕事、人生においても当てはまる言葉だと思います。
「負けて騒がれる」
くらいの人物になることを目標としたいものです。
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