50年以上、ずっと取り続けていた
宅配牛乳を今日で終わりにしました。
とることを決めたのも、
辞めるのを決意したのも母です。
50年前、家の周囲には、コンビニやパン屋さんなど、
牛乳を売る店はなく、毎朝、飲みたいと思っても
すぐに買える所がなかったので、取り始めたそう。
医者からも、タンパク質、カルシウムをとるのに、
牛乳が最適といわれたのも、とるのを決めた
理由のようです。
家族が増えるにつれ、本数を増やしました。
けれど姉の結婚などで家族も減り、
母も年をとるにつれて、毎日1本を
飲みきれなくなってきたのです。
最近では週に6本の宅配牛乳を
余すようになっていました。
また家のすぐ近くに24時間営業の
ミニスーパー、コンビニもでき、
いつでも牛乳を手に入れられることも、
宅配をやめる理由となりました。
母が骨粗しょう症の検査を受けたとき、
「この年齢にしては、骨がすごく丈夫です」
「それは、おそらく毎日、しっかりと牛乳を
飲み続けたおかげ」と医者から言われたと、
嬉しそうに何度も家族に話していた母。
そんなこともあって、母は、
宅配牛乳には大きな感謝の念を
持っていたようです。
「宅配牛乳をやめようと思うけど」と相談された時、
「お母さんがいらないのなら、もうやめれば」
と答えたのですが、もしかしたら、母は、
「僕がかわりに飲むから……」
と答えてほしかったのかもしれません。
昨日の夕食の時、母は
「手紙を書かなくては」と
話しかけてきました。
「誰に?」と尋ねると、
「牛乳屋さんに。長い間世話になったから。
でも、うちみたいにやめる人ばっかり増えて、
大変だねー、この商売も。でも時代かねー」
と寂しそうにぽつり。
寝る前には、その手紙を書き終えていました。
これまで長期間にわたって配達してくれた牛乳が、
自分も含め、家族の健康を支えてくれたお礼。
ただ最近では家族も減り、自分も年を取り、
飲み残してしまうようになったこと。
なので残念だが配達をやめざるを得ないこと。
最後は、お店の人の健康、商売繁盛を願う
言葉で締めたようです。
空き瓶とともに手紙を牛乳箱の中にいれました。
今朝、配達された牛乳瓶を取り込みながら、
「牛乳屋さんはどう思ったかなー」との
母のつぶやきを聞き、ぐっと何かが
こみあげてきました。
追記 2023年1月31日
◯あれから、これまで取っていた牛乳店、
そして別の牛乳店から、試し飲みの
依頼が来ました。「もう飲まないから」と
断ったのですが、「入れるだけ」と。
そのまま契約せず。玄関脇の牛乳入れには、
2度目のお試しの牛乳瓶の空き瓶が、
1本、残っています。
山地酪農。牛にストレスを与えない方法で飼育した牛から取れる牛乳は、
ひと味違います。中洞牧場の中洞さんの一冊。ここで学んだ人々が、各地で、
山地放牧を広げ、実践しています。
コメント