武者小路実篤の名言集「生きるなり」を実篤記念館が刊行
2023年1月10日、東京新聞に、《もう一歩 今が一番大事な時だ…よみがえる武者小路実篤の金言の数々 初の名言集を調布の記念館が刊行》との記事が出ていました。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/224332
名言集「生きるなり」は名言97編を収めた112ページで1100円。実篤記念館で販売。
武者小路実篤。白樺派、新しき村。そして名言色紙。
武者小路実篤(むしゃのこうじ・さねあつ)は、作家で小説「友情」「愛と死」や随筆、詩などの
文学作品を残しています。志賀直哉、有島武郎、有島生馬らと文学雑誌「白樺」を創刊。
このため、白樺派と呼ばれています。また理想的な調和社会、階級闘争の無い世界との理想郷の
実現を目指し、宮崎県、埼玉県に、村落共同体「新しき村」を建設しました。
一般によく知られているのは、晩年になり、野菜の絵に名言を記した色紙。印刷されたものが、
大量に販売され、多くの家庭にありましたね。
あなたのお宅にもありませんでしたか。
「仲良きことは美しき哉」「君は君 我は我なり されど仲良き」
わが家にもありました。もちろん印刷ですが。父母が買い求めたものではなく、
おそらくどなたかにいただいたモノだと思うのですが、なんと二つもありました。
かぼちゃが二つかかれ、そこに「仲良きことは美しき哉」。そしてもう一つが、
「君は君 我は我なり されど仲良き」。毎日、見ていたので、よく覚えています。
同級生のお宅に行った時に、座敷、応接間なんかにありましたね。
昭和の家庭には、大抵ありました。
これは後になってからですが、「週刊朝日」を「後ろから開かせる男」とも言われた
「山藤章二のブラック・アングル」では、この武者小路実篤の色紙をパロディーに
して取り上げています。
1976年に武者小路実篤が死去した際に、色紙「仲良き事は美しき哉」のかぼちゃの絵を、
ロッキード事件の主役の田中角栄、児玉誉士夫、小佐野賢治の顔に変えた作品です。
この作品はブラックアングルの中でも傑作と言われています。(1976年4月30日号)。
実篤公園、実篤記念館。ボランティアガイドによるツアーあり
1955年(昭和30年)、70歳で現在の調布市仙川に移住し、亡くなるまでの20年間暮らしました。
自宅敷地および建物は、没後、遺族から寄贈され、「実篤公園」「調布市武者小路実篤記念館」
https://www.mushakoji.org/
となり、公開されています。なお主屋は国の登録有形文化財となっています。
旧実篤邸は、公園内に。土日祝日に内部を見られます。記念館、公園などをボランティアガイドが、
案内してくれます。(仙川駅またはつつじヶ丘駅下車徒歩10分)
もうかなり前になりますが、京王線の仙川駅の隣駅千歳烏山駅に仕事場を持っていたことがあり、
その時に、この実篤公園、記念館を何度か訪れました。公園には武蔵野の草花、樹木が
植えられており、四季折々、自然を楽しめます。お勧めです。もちろん記念館内の実篤関係の展示も。
記念館では、絵を元にした色紙、絵葉書、クリアファイルなどのグッズを販売
記念館のミュージアムショップでは、実篤の書画をもとにデザインした、色紙、絵葉書、クリアファイルなどが販売されています。色紙でも1000円台、絵葉書は100円台なのでお手頃です。
https://www.mushakoji.org/shop/goods.html
名言は、画に添えられる讃(さん)
ここまで、「仲良きことは美しき哉」は名言と書いてきましたが、こうした言葉は、絵に書き添え
られる「讃」とよばれるもの。「君は君 我は我也 されど仲良き」「天に星 地に花 人に愛」
などが知られています。
《よくある質問とその答え》《実篤の言葉について、正確な字句と出典が知りたいのですが》
https://www.mushakoji.org/about/faq.html
《人間はなぜ生れてきたか、仕事とは、金銭とは、快楽とは、愛とは、死とは……》などについて、
武者小路実篤が書いた随筆・評論集。
名言集「生きるなり」にも、この「人生論」から選ばれています。
千葉県我孫子市に集まった白樺派 柳宗悦、志賀直哉、武者小路実篤ら
地元グルメ「白樺派カレー」
晩年を過ごした調布市の実篤公園、旧実篤邸をご紹介しましたが、実は千葉県我孫子市にも実篤邸跡があります。大正5年(1916年)に移住。志賀直哉などの白樺派の人たちもこの地に居住。我孫子市は、
白樺派の聖地の一つとされています。(旧実篤邸跡は基本的に敷地内は非公開。
たまに特別公開されているようです)
《文豪・文化人たちに愛されたまち 我孫子》
2019年のイベント《旧武者小路実篤邸跡 特別公開》
《我孫子市白樺文学館》
ずいぶん前に、白樺派の人々の面影を探るため、我孫子市を訪れたことがあります。
そのときにはなかったのですが、のちに我孫子グルメとして、白樺派カレーが生まれたそう。
白樺派のカレー普及会
市内のカフェ、喫茶店などで食べられるほか、レトルトカレーも発売。
2023年2月13日、朝日新聞夕刊、(有料記事)
《「村民」今は3人、次の100年願う 存続めざし寄付・アイデア募る 武者小路実篤の「新しき村」》
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