スーパーのアコヤガイの刺身から真珠が出てきたと話題に
ネットでニュースを見ていたら、《アコヤガイの刺身を食べていたら真珠が出現!
珍しい出来事に「アタリですね」》との記事が目に入りました。
魚の骨格標本などを作製し、Twitterで発表されているしゅんすけさんという方が、
近所のスーパーでアコヤガイの刺身を購入して食べてみたら、
小さいけれど真珠が出てきたとの内容です。
「お刺身用 愛媛産あこや貝」で、単価は100g当たり1000円で72gなので720円。
生の帆立に比べるとちょっと高いかな。
このニュースに自分はとても反応してしまうんです。なぜなら、アコヤガイではなく、
ムール貝ですが、食べて真珠が出てきた経験があるからです。
アコヤガイ。三重県、愛媛県など真珠養殖が盛んな所では身が食べられている
![](https://kamenochie.com/wp-content/uploads/2023/01/3942023_s.jpg)
その前に、真珠養殖に使われる一般的なアコヤガイ。その身は食べられるのか。
結論から言うと、売られているくらいですから、もちろん食べられるのです。
養殖して、中に真珠が出来たアコヤガイ。そこから真珠を取り出す作業を行います。
それを「玉出し」(浜揚げ)と言います。
この作業は、12月、1月の時期に行われるんですね。そして、真珠を取り出した後の、
アコヤガイの身は、捨てないでいただきます。
三重県志摩地方、愛媛県の南予、宇和島市などでは、この時期限定ですが、
一般的に出回っています。
しゅんすけさんが召し上がったのは、貝柱のお刺身。自分も伊勢に1月訪れた時、
宿の方が出してくれました。一般的なホタテの貝柱よりは小さめですが、
適度な歯ごたえがあり、甘みがあり、結構いけます。
刺身の他には、ソテー、塩焼きなど。また小柱のように掻き揚げも、
甘みが増してかなりの美味です。
三重県《真珠貝(アコヤガイ)の貝柱》
アコヤガイの他、ムール貝、あさりなどで真珠が。しかし小さめ、いびつなモノがほとんど。
養殖真珠で使われるのは、適度な大きさがあるアコヤガイが多いのですが、真珠自体は、
他の貝からも取れます。イケチョウガイ、オイスター(牡蠣)、
ホタテ貝、ムール貝、あさりなど。
「真珠王」とも呼ばれ、真円真珠の養殖に成功した御木本幸吉。それ以前は
半円真珠の養殖など、養殖で真珠が作られましたが、さらに遡れば、
真珠は天然真珠のみ。
そうした貝に真珠が含まれる割合は非常に少なく、それゆえ真珠は、
かなりの貴重品だったのですね。
そして、真珠が含まれていても、指輪やネックレスに出来るような
大きなサイズのものは、ほとんどなく、1ミリとか、2ミリとか
小さな粒で、さらに完全な球形(真円)であることは、さらに稀。
なので、天然の大玉の真円真珠は養殖前はかなりの値段だったのですね。
ニューヨークのレストランのムール貝のパスタから真珠が出てきた経験が。
![](https://kamenochie.com/wp-content/uploads/2023/01/22765977_s.jpg)
上で自分もしゅんすけさんと同じような経験をしたことがあると記しました。
もうかなり前になりますが、ニューヨークのリトルイタリーのイタリアンレストランで、
ムール貝のパスタを注文し、食べた時に、中から真珠が複数、出てきました。
1つは噛んで砕けてしまったのですが、残りのムール貝を慎重に探った所、複数の真珠が。
しかし、その大きさは数ミリ単位で、形も真円ではなく、色も白くなく、真珠特有のテリも
ありませんでした。しかし宝物、お守りとして、馬蹄型のコインケースに入れて大事にしています。
以来、ムール貝やアサリのパスタ、生ガキ、牡蠣フライなど、真珠が出来る可能性のある貝料理を
食べる度に確認していますが、あれから真珠にでくわしたことはありません。
(ニューヨークのベルギーのムール貝の白ワイン蒸し専門店に行って
バケツ一杯のムール貝を食べたこともあるが、出てこなかった)
何度か、ガリッとかジャリッいう音で、もしかしたらという経験はあるのですが、
貝殻や砂かもしれませんしね。ただ宝くじの一等よりは、出合う確率は多そうなので、
今でもそうした料理を頂くときは、「出てくるかも」と期待を込めて臨んでいます。
ネットでは、天然真珠が販売されていることも。
アコヤガイ以外の貝からとれた真珠も販売されています。
関連エントリー
《亀の知恵》
《かきフライから真珠が50個、見つかる。テネシー州のレストランで。》
《人生やり残しリスト》
《真珠貝のオーナーになった知人。珠入れしたアコヤガイから2022年1月に珠出し。》
《真珠養殖で捨てる貝肉を再利用 三重で「パールコンポスト」 SDGsを意識》
東京新聞夕刊、2023年1月27日。
三重県で、行政や養殖業者らが連携し、真珠の母貝・アコヤガイの貝肉を再利用した堆肥「パールコンポスト」の生産に力を入れている。貝肉の多くは捨てられているのが現状。国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みとして、アコヤ真珠の評価を高める狙いがある。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/227700
貝殻は、高級なボタンに。貝柱は上に記したように食用に。しかし貝肉は、
真珠を取り出す過程で、粉砕されるため、これまでは養殖場で海に
捨てられていたとのこと。これを利用するということですね。
環境に配慮した真珠ということが広まれば、アコヤ真珠の価値がより上がり、
後継者不足解消に役立つと考えているようです。
この取り組み、広がっていくといいですね。
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