昨日、このブログで女優の藤山直美さんの
お父さんである、
藤山寛美さんのことを書きました。
大阪に住んでいて、藤山寛美さんの
ファンでもあった祖母のことを
思い出しました。
豪遊して莫大な借金をし、
自己破産し、松竹芸能との契約も
打ち切られるなどした寛美さん。
祖母は、寛美さんについて、
自分にとっては意外な言葉で
彼を語ってみせました。
一言で言えば、
「寛美さんは、甲斐性がある」と。
「甲斐性」。
最近では余り聞かなくなった表現ですね。
「あの人は甲斐性がある」逆に、
「あの人は、甲斐性なし」などと使われます。
意味は、どんな大変な目にあってもくじけず、
働きや才覚によって、自分だけでなく、
家族や従業員などを養う力=生活力があり、
誰にとっても頼りになること。
祖母は昔の人ですから、
もっぱらこの言葉を使うのは、
男性に対してでしたが、
いまどきは、女性にも言えるのでしょうね。
祖母が、甲斐性をはかる物差しの1つとして
あげていたのは、寛美さんではないですけれど、
どのくらい借金できるかどうか。
お金に関することに対して、
人は他人を厳しく評価します。
いわば真価を見極めようとします。
「あいつはいくら返せるか」
それを真剣に見定めて、
それに見合うだけの金しか
貸してくれないのですね。
祖母は、友達、知合いの数よりも、
いざという時、何も言わずにお金を
貸してくれる人がどれくらいいるかが、
その人の価値=甲斐性だと。
今の自分について考えてみました。
個人だけでなく、銀行などの
金融機関、自治体などを含めて、
どれくらい貸してくれるか。
思い浮かべてみましたが、
億単位はもとより数千万円単位でも無理でしょう。
うーん、せいぜい数百万かなー。
そういえば、祖母が元気な頃、大阪の家を訪れ、
テレビをみながらの雑談の中でだったか、
歌手の千昌夫さんの話になったことがあります。
千昌夫さんは、およそ3000億円の
借金を背負ったと報じられていました。
祖母は、「千さんはすごいもんだ」
と評価していました。
(加山雄三、さだまさしさんなどの借金も
甲斐性があると語っていた)
借金できるのも甲斐性のうち。
「沈香も焚かず屁も干らず」なんてことも語っていました。
沈香とは、高級なものは
伽羅(きゃら)と呼ばれる
高級な香木のこと。
孫の僕に、平々凡々な人生を送るより
借金を背負ってでも何かことをなさる男になれ
と言いたかったのでしょう。
いや、自分が男だったら、
そんな人生を送りたかったのかもしれません。
甲斐性なしのまま、
年を重ねてしまった年の暮。
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