放送作家が教える視聴者をひきつけるテレビ番組の構成ー流れを決める原理、テクニック

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企画の種の育て方

はじめに テレビ番組の企画構成を知りたい人に向けた記事

こんにちは。私は放送作家を30年以上しています。専門学校で企画構成を教えています。
テレビ番組の制作、企画構成を知りたい人に向けて、この記事をお届けします。

今回は、テレビ番組の構成、中でも要素の順番(流れ、展開)を決める原理、
テクニックを中心にお話しします。

テレビ番組の構成とは

テレビ番組の構成とは、放送する内容を決め、順番に並べ、時間配分をし、
どのように伝えるかを考えることです。
番組を組み立てる、番組の設計図を書くと言ってもいいかもしれません。

なお企画、構成、演出の意味、違いについて。

企画は、どのようなテレビ番組を作るか計画すること。
構成は、そのテレビ番組で、具体的にどのような題材を
    どんな順番、時間配分でどう伝えるを考えること。
演出は、映像、音声面での見せ方、聞かせ方を考えることです。

3つは、相互に深く関係し、重なっています。
人によっては、それぞれの言葉の捉え方も違います。
番組を制作する上で、3つの言葉の定義を、
厳密に区別して取り扱う必要性は低いと考えています。

今回、最も伝えたいのは、構成の中でも、
放送する要素をどのような順番で並べるか。
その時に役立つ原理、テクニックです。

まずは、構成の大まかな手順を見てみましょう。

構成の方法、手順

1,テーマを決める
  自分が番組にしたいテーマを決めます。
  時代の流れ、人々の関心、自分の興味など、
  テーマを決める要素はいろいろありますが、
  詳しくは、
  《テレビ番組の題材をどう探す?放送作家が教えるコツとポイント
  《企画、ネタの見つけ方、探し方。メモリアルイヤー、記念年を探せ。池波正太郎生誕100年。
  を見て下さい。

2,テーマに関連する要素をできるだけあげる
  テーマが決まったら、そのテーマに関連する、
  または連想する要素をできるだけあげていきます。
  
  「牛乳」がテーマの場合
  《テーマからテレビ番組の企画を考える 例:牛乳

3,あげた要素を絞っていく
  たくさんあげた要素を絞っていきます。
  絞る際の基準となるのは、
  切り口(視点)と時間、視聴ターゲットなどです。
  切り口とは、その題材をどのような面から取り上げる、
  見せるかということです。
  時間は、番組の放送時間ですね。
  視聴ターゲットは、番組を見てもらいたい人。
  子育て世代の女性とシニアの男女なら興味、関心が
  異なりますので、選ぶ要素も異なってきます。
  (数多く考えられるテーマの中でどれを選ぶか、
  テーマ選びの段階でもそれは同じ)

4,絞った要素を並べていく(時間配分をする)
  上で絞って選んだ要素。選ぶ段階ですでにある程度の
  流れ、順序を決めていますが、絞った要素(内容)を
  どのような順番(流れ)にするのかを決めます。
  そうして並べた要素にどれくらいの時間を
  配分するかを決めます。
  伝えるべき情報量、見せ方、全体のバランス、
  メリハリなどを考慮し時間配分します。
  今回の記事でお伝えしたいのは、順番を決めるこの過程です。
  順番を決めるのにどのような原理、テクニックがあるかです。

5,順番、時間が決まった要素をどう伝えるか
  流れ、時間が決まったら、(その前から考えていることが多いが)
  全体、またそれぞれの要素をどう伝えるかを考えます。
  あるメッセージを伝えるのに、当事者のインタビューにするのか、
  専門家にするのか。インタビューではなく、ナレーションにするのか、
  それともスタジオにしてMCが話すのか、ゲストが話すのか。
  そのまま情報をナレーションで読み上げるのでなく、クイズ形式にして、
  ゲストに答えてもらい、ナレーターが答えを明かす形式にするのか。
  そういった仕掛けを考えることです。
  上で構成、演出という言葉について説明しましたが、
  これらを演出と考える人もいます。
  個人的には、演出は映像、音声面での工夫。
  例えばスタジオ、VTR、図、グラフ、イラストなどの選択です。

  構成要素を表現する手段:生放送、収録、スタジオ収録、VTR、ロケ、中継

  こうして決めたら、構成表を書いて、台本を作成します。

  構成表については、
  《テレビ番組の構成表とは?放送作家が教える書き方のコツ、具体例。
  構成の基本的なことは
  《放送作家が教えるテレビ番組の企画、構成入門編

放送する要素を並べる原理、テクニック 流れ、展開のパターン

それでは、放送する要素の順序を決める原理、テクニックを見ていきましょう。
(上にも記した通り、順序を決めるだけでなく、伝え方にも関わってくる)

基礎的、一般的な番組の構成パターン

基礎的、一般的なパターンを見ましょう。

アバン:番組全体から見所を集約した部分。ダイジェストと呼ばれることも。
    オープニングに含まれると考える人もいる。近年の番組で使われる事が
    多いこと、しっかりと意識してもらいたいため、独立させて記述した。
    番組の中でも重要な部分。以下に詳細な記事があるのでご参考に。

オープニング:番組のテーマ、設定、登場人物紹介する部分。
  視聴者をひきつける。重要なパート。

メイン:番組の核となる部分。テーマに沿った情報を提供する。

サブ:メインと関連する,視点の異なる補足的な部分。
   メインの内容を深めたり、視聴者の気分を変えたりする。

エンディング:番組の結果、まとめ、感想、次回予告などを行う。
  視聴者の満足感、印象を決定するので重要。

〇順番、流れを工夫することで、視聴者に理解を促す。楽しんでもらう。
〇感情的な変化(泣く、怒る、共感する)、サプライズを入れる。
〇視聴者は短時間に多くの情報を受け取れない。
 伝える内容を整理する。情報を詰め込みすぎない。
〇視聴者に「番組の内容は、自分に関係がある」と思わせるよう工夫。

アバン、オープニングについては、
引きつける番組のオープニングの作り方。つかみ。まくら。「始めよければ全てよし」。

構成する要素を並べる原理、テクニック

次のような原理、テクニックがあります。

起承転結:物語や文章の基本的な構成法です。
 起は導入部で話の背景や登場人物を紹介します。
 承は展開部で話の流れを作ります。
 転は転換部で話に変化や予想外の展開を持たせます。
 結は結末部で話をまとめます。
 この方法は、視聴者にわかりやすいのですが、
 多くの場合、「起」の前に結(アバン)を持ってきたりします。
 また、この法則は、物語を使う場合の構成で、
 ドラマ、映画などでは、有効ですが、
 情報番組、バラエティ番組には使いにくいです。

– 起:話の始まりや背景を示す
– 承:話の流れや展開を示す
– 転:話の変化や転換を示す
– 結:話の結末やまとめを示す

テレビ番組の場合、起承転結は以下のように考えることができます。

– 起:オープニング。番組のテーマや内容を紹介し、視聴者の興味を引く
– 承:メイン。番組の主題や核心を伝える
– 転:サブ。番組の補足や別視点を伝える
– 結:エンディング。番組のまとめや感想を伝える

例えば、教養番組で「日本の伝統文化について」を
テーマにした場合を考えてみましょう。

– 起:オープニング。日本の伝統文化とは何か、
   なぜ今知っておくべきか、どんな内容に触れるかを紹介
– 承:メイン。日本の伝統文化の代表的なもの(例えば茶道、華道、能楽など)を取り上げて、
   その歴史や特徴や魅力を専門家や体験者にインタビュー。実際に見せる。
– 転:サブ。日本の伝統文化と現代社会との関係や影響について考えたり、
   海外から見た日本の伝統文化について紹介。これまでとは違った視点を提示。
– 結:エンディング。日本の伝統文化に対する感想、学び、感動を伝える。
   シリーズ物の場合、次回予告、追加情報として関連書籍などを紹介。

例題:「未来のマエストロ」 
   将来、マエストロ巨匠になりそうな様々な分野の、
   新進気鋭の若手を紹介する人物ドキュメンタリー番組。
   この番組のある回について、起承転結で考えてみて下さい。

序破急:日本の伝統的な舞楽・能楽などの構成法です。
 序は導入部で話の舞台や登場人物を紹介。
 破は展開部で話に盛り上がりや転換点を持たせます。
 急は急展開部で話を一気に解決します。
 この方法も、物語を構成する上では有効ですが、
 トーク、バラエティ番組では使いずらいです。

三幕構成:映画やドラマなどの構成法です。
 第一幕は導入部で話の背景や登場人物、問題点を紹介。
 第二幕は展開部で問題に対する試行錯誤や葛藤を描きま
 第三幕は解決部で問題に対する答えや結末です。

 「導入」「展開」「結末」で、上の「序破急」に通じる構成法です。
 ハリウッド映画の多くで採用されている物語の構成法です。
 テレビ番組でも、物語性、ストーリー性が求められる場合には、
 この原理が有効です。

 脚本家シド・フィールドにより、広く知られ、
 使われるようになりました。
 上の説明をもう少し詳しく書くと、

– 第一幕(導入):物語の主人公や舞台、テーマなどを紹介。
  主人公が目的や問題を持つきっかけとなる事件(プロットポイント1)が起こる。
  物語全体の約25%。(ハリウッド映画はほぼ2時間。この部分は30分)
– 第二幕(展開):主人公が目的や問題に向かって行動し、困難や敵と戦い成長。
  ここで、主人公が最大の危機に直面する事件(プロットポイント2)が起こる。
  物語全体の約50%。(この部分は1時間)
– 第三幕(結末):主人公が最終的な決断や行動をし、目的や問題を解決するかが明らかになる。
  物語のテーマやメッセージが強調される。物語全体の約25%。(この部分は30分)

なおそれぞれの幕の中にさらに三幕構成が含まれ、
重層的な構造になっています。
この三幕構成を直線構造と呼ぶ場合も。
(ほかにエピソード構造、コンテクスト構造などがあるがここでは省略)
ドラマ、映画の脚本を書く場合は、この三幕構成の知識、
テクニック習得が欠かせません。
以下の本に詳しく説明されています。

時系列:出来事や事実を時間順に並べる方法です。
 過去から現在、また現在から未来までを伝えます。
 複数の人、場所を並行して時間順に伝える場合もあります。
 この方法は、実生活と同じであるため、視聴者に理解されやすく、
 事実関係や因果関係を明確に伝えられるという利点があります。
 しかし、日常的であるため、ドラマチックさに欠け、
 単調になりやすいという欠点があります。
 そうした欠点を補うため、時間を遡ったり、
 先に未来を見せて戻ったりなど、時間軸を変化させたり、
 濃密にじっくり描く部分と一気に飛ばすなど、
 メリハリをつける工夫をします。

因果関係:ある事象が別の事象に影響を与えるという関係を基に並べる方法です。
 例えば、「事件が起きた→捜査が始まった→犯人が逮捕された」というように、
 原因と結果の順番で物語を展開します。ドラマ、ドキュメンタリーなどの
 ジャンルでよく使われます。物語の流れをわかりやすく伝えやすいです。

順序型:番組の内容を時間的な順序や因果関係に沿って並べる構成パターン。
 上の2つを合わせた言い方です。例えば、「過去から現在までの経緯をたどる」
 「原因と結果を示す」などです。上に記したように視聴者に物語や論理を
 わかりやすく伝えられます。

重要性の原則(ニュースバリュー):(この項目については別記事で詳しく書きます)。
 重要な話題、内容から流すという方法です。
 ニュース番組の場合は、この原則により、構成されます。
 ニュースバリューという場合もあります。
 伝えるべき価値のあるニュースであるかどうかを表す指標です。
 ニュースバリューが高いニュースほど、番組の頭や早い時間で、
 長く伝えられます。
 (新聞の場合は、1面、さらに複数面で、文字数が大きく=広く伝えられます)
 ニュースバリューを決める要素には、以下のような要素があります。

  • 対立性:対立や争いがあるニュース。
  • 希少性:珍しいニュース。例えば、世界初、日本初、史上初の出来事や記録などが該当します。
  • 社会性:社会的に影響が大きい、関心が高いニュース。
     より多くの人に関わりがあると言ってもいいかもしれません。
     例えば、少子化やジェンダー、SDGsなどが該当します。
  • 人間性:人間らしい感情や物語があるニュース。
     例えば、ヒーローやヒロインの活躍や苦悩などが該当します。
  • 季節性:その時期に話題になるニュース。季節ネタ。例えば、梅雨、七夕、クリスマスなどが。
  • 時事性:現在発生しているニュース。
  • 近接性:自分に近い場所や関係にあるニュース。
     例えば、自分の住む地域や出身地、自分の所属する組織やグループなどが該当します。
  • 類似性:自分と似たような立場や境遇にあるニュース。
     例えば、自分と同じ年代や性別、
    職業や趣味などが該当します。
  • 意外性:予想外や驚きのあるニュース。例えば、奇跡、偶然、大逆転など。
  • 継続性:連続したり発展したりするニュース。
     例えば、シリーズものや連載もの、事件や事故の経過や結末などが該当します。

電通グループの《PR IMPAKT®(PRインパクト)》。PR面から見た情報価値
《【完全解説版】情報価値を高めるメソッド 「PR IMPAKT®️」》
Inverse…逆説・対立構造
Most…最上級・初・独自
Public…社会性・公共性・地域性
Actor…役者・語り部・体現者
Keyword…キーワード・数字
Trend…時流・世相・トレンド・季節性

https://prx.dentsuprc.co.jp/blog/c12

ランキング方式:ある基準や条件によって順位付けされたものを紹介する方法です。
 これは、要素をどう見せるかにも関係する方法です。
 下位から上位まで、上位から下位まで順番に発表することで、
 視聴者に期待感や驚きを与えます。

 ランキング方式をとる場合の注意点は、次の通りです。
 ランキングのテーマ、どのように順位をつけたのかその基準を明らかにする。
 これは番組冒頭に示します。またランキングの途中でも紹介します。

 10位から1位まで、順番に同様な形で紹介していくのは、
 単調になりやすいので、均等な時間で扱うのではなく、
 たっぷりと時間を割く順位とそうでない順位と、時間にメリハリをつける。
 見せ方も、取材VTRをつけたり、インタビューをつける。〇位に何がくるか
 クイズにして、出演者、視聴者に問いかけたりなど、見せ方に変化をつける
 といった工夫をします。
 またよくやるのは、圏外で注目すべき人、物などをランキングの発表途中に
 はさむやり方。構成でいうとサブテーマの提示です。
 こうして視点の異なる情報を追加することで内容、リズムに変化を持たせ、
 視聴者の関心を維持し続けます。

 組み合わせの例
  「30代独身女性のお悩みベスト10と解決策」
  基本はランキングだが、「悩み解決」という問題解決型となっている。
  ランキングだけでなく、クイズ、再現ドラマなどを組み合わせる。
  途中、圏外だが面白い困り事を紹介したり、 他の同様な調査の結果を紹介したり、成
  お悩み解決の成功例、失敗例を入れたりする。
  3位は何かゲストに質問したり、解決法を三択クイズしたりなど、
   バリエーションを持たせ、リズムに変化をつける。

対比(比較):異なるものや相反するものを並べて比べる方法です。
 共通点や相違点を明らかにすることで、視聴者に新たな発見や気づきを与えます。
 これだけで順番は決まらず、この方法はちらかと言えば、見せ方の問題です。
 人、もの、大きさ、利点、欠点といった項目毎に比較するという形で構成していきます。

対決:互いに競争したり対立したりするもの同士を対峙させる方法です。VS方式とも。
 勝敗や優劣を決めることで、視聴者に緊張感や興奮、共感を与えます。
 こちらも見せ方の問題で、この方式で要素の見せ方が決まる訳ではありません。
 比較項目(人、物、特徴など)を並べて、構成していきます。

 2023年8月のお盆の12日に、対決、バトル方式の番組が民放3局で
 放送されるとの記事があります。

12日夜、民放各局のバラエティ特番で3つの異色バトルが放送されます。

 まず日本テレビは、『ダウンタウンvs Z世代!ヤバイ昭和あり?なし?』(19時~21時54分)を放送。

TBSは、『熱狂マニアさん!即席麺マニア大終結!日本VS韓国…インスタント麺No.1決定戦』(18時51分~21時)を放送。マニアたちが厳選した日韓の「今食べるべき最強インスタント麺」を次々にピックアップしていくようです。

 さらにフジテレビは、『新しいカギ 学校かくれんぼin沖縄 真夏の真剣勝負SP』(19時~21時)を放送。「学校かくれんぼ」は昨年11月から放送されている現在のメイン企画で、新しいカギメンバーとゲスト芸能人が学校に隠れて生徒たちと戦う臨場感たっぷりのゲームが人気を集めています。

 記事では、お盆の時期になぜこうしたバトル番組が放送されるのか。“バトル”という構成の
 背景や狙いについて分析されています。
 お盆は、今でも家族・親族が集まりやすい時期。《テレビ業界では昔から
 「盆と正月は家族や親族がそろって見られる番組を放送しよう」と
 考えられていました》。
 記事の筆者は、《「家族・親族が集まったとき、会話のきっかけになるようなもの」
 としてラインナップされたのでしょう》と推察されています。
 また《お盆は日本全国に共通した風習であり、各地を人が行き来する期間のため、
 系列局のどこにいても、どこの人といても楽しめるような企画》である必要があるが、
 バトル番組はその要素を満たすと。
 またバトルという構成に関しては、ランキングと並び、
 「誰でもひと目でわかる」という単純明快さが特徴で、
 ながら見という現在の視聴スタイルにぴったりとも。
 さらに《本来、視聴者がバトルを楽しむポイントは、主に
 「対照的な2組が対決する面白さ」「どちらが勝つか負けるかの攻防」
 「結果の明暗」の3つ》だが、近年は、《笑顔でトークを交わしたり、
 互いの魅力を称え合ったり、勝敗を超えて親交を深めるような演出が
 目立》つと指摘。
 《「対照的な2組が尊重し合い、理解を深め合う」というコンセプトこそが、
 家族・親族が集まるお盆にふさわしいのかもしれません》と。

《昭和VS Z世代、日本VS韓国、学生VS芸能人 お盆休みにTV各局が異色バトルを放送する狙い
NEWSポストセブン / 2023年8月12日 7時15分》
https://news.infoseek.co.jp/article/postseven_1895287/?p=1
対決、バトル形式で構成する際に役立つ記事になっていますので、
リンク先を読んで下さい。
問題解決型:問題を示し、それを解決するという方法。
 クイズ番組がそうですが、こちらもそれだけで、
 要素の並べ方が決まる訳ではありません。
 クイズ番組なら、初級問題から難しい問題にする。
 様々なジャンルの問題を出す。得点を争い、順位を決めるという流れになります。
 他のジャンルの番組でも、問題、課題を提示し、登場人物、会社がその解決に挑む。
 失敗を繰り返しながら、最終的には課題解決といった形で並べられます。
 上の三幕構成もこうした形ですね。

並列型:番組の内容を同じレベルやカテゴリーに分けて並べる構成パターンです。
 「同じテーマの異なる事例を紹介する」「同じジャンルの異なる作品を比較する」
 「同じ問題の異なる解決策を提示する」といった具合です。
 ただこれだけで伝える順番、順序が決まる訳ではありません。
 登場する人物、物、出来事などの興味深さ、インパクト、録れ高などにより、
 順番を決めていきます。
 並列型は、視聴者に多様性や選択肢を提供できます。
 最近の若い世代は、短時間の動画を見ることが多いですが、
 並列型は、どこから見ても見やすいので、そうした世代向けの
 構成方法としてはあっているかもしれません。
 
 例:《芸能人のそこだけ視察ショウ イロメガネ》2023年5月21日放送
   https://tver.jp/series/sru4ups3gk 

芸能人のそこだけ視察ショウ
芸能人の私生活の「ある一部」に着目して「そこだけ」視察!
今回はどのご家庭にも必ずある芸能人のご自宅の「カーテン」20連発!
話題のギャル芸人の初公開のご自宅から豪華芸能人のご自宅までいろんな家を視察!
これは芸能人20名のリアルなカーテンの選び方。 アナタのおメガネにもきっと叶うはず。

  上に示したように、今回は、20人の芸能人の「カーテン」を調査し紹介。
  お宅に訪問し、カーテンやその他の家の中を紹介していくのが基本構成。
  ロケし、本人と一緒に家の中を巡るVTRをスタジオが見ながら受ける形ですが、
  長く見せるものと短めのもの。さらにはロケ取材せず、ネットでの画像をもとに
  カーテンをスタッフが特定し、本人に電話取材するなど短い簡易バージョンも。
  また紹介する芸能人の顔を隠した映像で視聴者に誰からを推測させ、興味を
  持たせる工夫もしていましたね。(20人目。大物芸能人)
  以上のような試みを行い番組構成にバラエティを持たせていました。

実際のテレビ番組では、これらの方法が組み合わされて使われています。

視聴者の関心を維持し、最後まで見させる工夫

視聴者に番組を最後まで、見てもらうための工夫について書きます。

上に記したクイズ、問題解決、ランキングは、視聴者に最後まで
見てもらうためのテクニックとも言えます。

次のような状態、心理を生み出すとよいと言われます。

関心を維持するために視聴者に生み出す心理状態。

  • サスペンス:視聴者に何が起こるか、どう展開するか、宙ぶらりんな状態におく。
  • サプライズ:視聴者に予想外のことを見せる。
  • 共感:視聴者が人物、内容に共感できるようにする。
  • カタルシス:視聴者がエンディングで満足感を感じるようにする。

視聴者を最後まで飽きさせないための方法

〇冒頭で、動画の内容や見どころを明確に伝える。今日ではアバンを作ること。
  視聴者は、動画の最初の数秒で見るか見ないかを決めるため、
  冒頭で興味を引くことが重要です。
〇途中に、ダイジェストや予告などを挿入。
  視聴者は、途中で飽きてしまうことも。途中で次に何が起こるかを示すことで
  期待感を高められます。例えば、CM前に予告、「あおり」を入れます。
〇最後に、締めくくりや次回予告などを入れる。
  視聴者は、最後の部分で、番組に対する感想や印象を持ちます。
  得た知識、情報を再確認させ、その時の感情を再び起こすため、
  最後にまとめを起きます。次回予告、番組情報などを入れることで、
  リピート視聴を促せます。
〇構成、テンポにバリエーションをもたせる。
  上に述べた構成の原理を複数組み合わせ、同じような映像が続かないようにします。
  基本の構造は押さえつつも、見せ方、時間などに変化をもたせましょう。
〇意外性やハプニングを取り入れる。
  視聴者は、予想外の展開に反応しやすいです。
  意外性、ハプニングの要素を取り入れてみましょう。
  例えば、アバンなどに示さなかったゲスト、物が登場するといった
  サプライズ要素です。
〇視聴者との相互関係を作る。
  視聴者と相互の関係を築けば、興味が高まり、最後まで視聴します。
  視聴者参加型の要素を入れてみましょう。視聴者の関心度、満足度を高められます。
  司会、出演者が呼びかける。投稿を促す。番組SNSを設けるなどです。

以上が視聴者を最後まで飽きさせないための方法の一例です。

まとめ

以上、テレビ番組の構成、中でも流れを決める原理、テクニックを中心に述べてきました。

起承転結、三幕構成、時系列、ランキング方式、並列型など
いろいろなものをご紹介しましたが、これが全てではありません。
またあげたものは互いに重なっているものもあります。

こうした方法の中から選択し、また組み合わせ、
視聴者の興味をつかみ、関心を維持させ、
番組を見てもらう工夫をしましょう。

こうした伝える要素を並べる原理、テクニックは、
実際に番組を構成することで、身につけることができます。

また他の記事でも述べたことですが、既存の番組を分析しましょう。
どのような原理、考えで、伝えたい要素を順序立てているのか、
展開しているかを見てみましょう。

構成するとき、便利なのがポストイットなどの付箋。
1枚に1項目の内容を書いて、ボードに貼り付け、
流れ、展開を決めていきます。お勧めの方法です。

プロフィール
この記事を書いた人
niki

35年以上にわたり、TV、ラジオ、
イベント制作に携わる。30年余
り、放送関係の専門学校講師を
勤め、企画書、台本の書き方を
教える。10年余りホテルの食に
関するHPの制作、コンサルタ
ントも、行う。新聞は小学4年生
から読み始め、多い時には13紙
を愛読。
ブログ「トクダス」
https://nikitoki.blog.ss-blog.jp/
ブログ「人生やり残しリスト」
https://yarinokoshi.blog.ss-blog.jp/

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