2020年6月9日、産経抄。
《東アフリカや中東でのバッタ大発生のニュースを聞くと、
「バッタとの戦いの歴史」と言い換えたくなる。
▼空が真っ黒になるほどのバッタの大群が、農作物を食いつくす。
被害の大きさは、聖書やコーランにも記されている。古代ヘブライ人は、
バッタの羽の紋様は、「神の罰」と刻まれたものと言い伝えた。
バッタ(Locust)は、ラテン語の「焼け野原」を語源としている。》
https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200609/0001.html
(全文は会員限定)
バッタ(locust)とあります。
英語のlocustの意味としては、
バッタのほか、イナゴ、セミも。
https://ejje.weblio.jp/content/locust
セミはともかくとして、あなたは、
バッタとイナゴの違いをご存じですか。
上のリンク内の記述。
《1【昆虫】 バッタ,イナゴ 《時に大群をなして移動し農作物に害を与える》.》
バッタはgrasohopperとも。
多くの場合、厳密には区別せず、使われているようです。
しかし昆虫学では大きな違いがあります。
相変異を示すものがバッタ(Locust)、
示さないものがイナゴ(grasshopper)。
相変異とは、環境によって「相」=モードが変わること。
《生息密度に応じて形態や行動そして
生理的形質が変化する》ことです。
《混み合うと黒くなるトビバッタ》
https://katosei.jsbba.or.jp/download_pdf.php?aid=654
上にあるように、トビバッタは、
生息密度が上がると、体色が黒っぽく変化します。
しかしイナゴはこうした相変異を起こしません。
長野県出身の友人、知人がいますが、
小さい頃、よくイナゴを捕まえ、
家に持ち帰り、調理し、食べていたそう。
取っていたのは「イナゴ」なんですが、
長野の方言だと、「バッタ」になるんですね。
ややこしいですね。
さて今、アフリカ、インドなどで
大きな被害をもたらしているバッタは、
群生相(ぐんせいそう)。
単独で行動している場合は孤独相(こどくそう)。
群生相(ぐんせいそう)になると
緑から黒っぽい色に体色が変化し、群れて、凶暴になります。
集団化、凶暴化したバッタは、時には数百㎞も飛び、
飛び去った後の緑はすべて奪われてしまいます。
中国では「飛蝗(ひこう)」。
蝗という字からわかる通り、
虫の帝王とされています。
この飛蝗による害が蝗害(こうがい)です。
locustの語源はラテン語locusta。
イナゴ、バッタ、ザリガニなどを指しました。
これは「手足を動かす、曲げる」という
印欧祖語「lek-」に由来するとされています。
(ギリシャ語由来の「跳ねる」など他の語源もある)
https://en.wiktionary.org/wiki/locusta#Latin
コロナ禍もそうですが、蝗害も収まって欲しいですね。
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